わたしは本書で参照された文系理系のいずれの分野の専門家でもないので、ほかの評者の方のように、内容の詳細にわたる正否は判断しかねます。でも、読後感は「複雑」または「驚愕」一歩手前でした。
ここに披露された遺伝子科学の成果やデータを積み重ねていけば、著者が最初から最後まで「事実」だと言い続ける「黒人は足が速い」という命題そのものが崩壊しませんか? 私だったら、本書に使われたのとまったく同じ研究結果やデータを使って、世間で広く信じられている「黒人は足が速い」という言説が、遺伝子科学の観点からも、いかに「ウソ」であるか、を論じるでしょう。
全体の印象としてはバランスのとれた書き方で話が進められているとみうけられましたので、この「論理破綻」は私の誤読なのか?はたまた「人種言説の強大さ」を物語るのか・・・という感じです。