かつて海賊に奪われた『光の環』を取り戻せば、父の遺した領地を守ることができると信じている伯爵令嬢のヒロインは、海賊の末裔といわれるヒーローに接近します。策を弄して、彼の屋敷に入り込むことに成功するのですが、ミイラ取りがミイラに…。
使命感に燃えて、自ら危険に飛び込むヒロインはとっても勇敢でした。しかし、周囲が見えていなくて、自分のやったことがヒーロー達にどんな影響を及ぼすかまったく考えていない。思慮のない娘だわと、ちょっとイライラ。
でも読み進むうちに、それは彼女の一途さと若さゆえなんだということがわかってきます。
なにしろ最初の仮面舞踏会の場面では妖艶な女性を演じてたのに、その後どんどん愛らしい純朴さがあらわになってくるのですからね。
秀逸だったのは、ストッキングを買ってもらうエピソードです。
高価なドレスを断り、絹のストッキングに小躍りして喜ぶヒロインの姿にはヒーローでなくとも、笑みを浮かべずにはいられません。こっそりスカートの裾を上げて何度も見たりしている様子は本当にかわいらしくって、それまでの数々の辛辣な言動も許せちゃいます。
また、彼女がストッキングを買えるようにさりげなく誘導したヒーローも素敵でした。罠にかけられたと憤っていたヒーローですが、彼女の素顔を知るうちにどうしようもなく惹かれていく様子が伝わってきましたね。
もともとSFっぽいストーリーは苦手なんですが、『光の環』を信じるヒロインに対し、信じないヒーローに共感できたので、この物語は違和感なく読めました。
エピローグでは、とっても幸せな気持ちになれること請け合いです。