広島の被爆者、またはその二世の人たちの苦悩、精神的、身体的苦痛を真っ正面から描いたアニメ。もちろん、すべて実話である。戦争と原爆のことをまったく知らない私にとって、非常に衝撃的な作品だった。あまりにもリアルな描写と、おそらくは、実際の経験者でなければ出ないような台詞が、胸に刺さるように迫ってきた。そして、今なお続く差別や偏見… 原爆の残した傷跡は、何十年経っても決して消えることはないということを、痛いほど思い知らされる。できれば、中沢啓治氏のコメントも、じっくり読んで見ていただきたい。
この作品には、さまざまな形で原爆(戦争)の犠牲になった人のたちの生きざまが描かれているが、自分と同じ年代でも、間接的とはいえ戦争の犠牲者として亡くなる人が現実にいたということは、かなりのショックだった。被爆二世で、原爆孤児でもあるその青年の声を演じていた西城秀樹さんも、キャラクターとしてピッタリだったし、本物の広島弁が効いて、いきいきとしていた。いわゆる自主制作もので、特に話題にもならなかったこういう作品に、彼のようなスターが出演したのは、やはり、故郷のため、反戦・反核のために役立ちたいという熱意の現れなのだろう。ほかの声優さんたちも同じだろうが、そういう気持ちの部分にも感動した。これは、最強の反戦メッセージ・ドラマである。
ただ、これは私の個人的な趣味によることでもあるのだが、絵そのもの、特にキャラクターデザインは、正直言ってイマイチである。あまり感じのいい絵だとも、魅力的な絵だとも思えなかったし、技術的にももう一歩で、それが残念だった(この点が☆マイナス1)。そして、反戦・反核を訴えるためには、子供に見せてもいい内容にしたほうがよかったようにも思ったが、それでは描けないドラマだったのだろう。
こういう作品は、日本に限らず、もっと大勢の人に見てもらえるようにアピールするべきではないだろうか? この作品は実写映画にするのは難しいとは思うが、できればやってほしい。それはきっと、世界中に反核を訴える原動力となるはずだ。