本書で提示される謎は、これがいったいどんな風に説明つけられるんだろう?とこちらが心配になってしまうほどオカルトホラーど真ん中の謎なのである。いったいどんな謎かというと、19年前に惨殺された五歳の娘の声が聞こえてくる。果てはその娘が姿をあらわしたり、殺されたときに持っていたピエロの人形が忽然とあらわれたりする。おいおい、いったいどういう話なんだ!と思ってしまう。これはいったいミステリなのか?それともホラー作品なのか?こんな超自然的な出来事に納得のいく説明なんかつけられるのか?誰もがそう思うことだろう。しかし、これが無理なくうまく説明ついちゃうんだから驚いてしまう。こじつけも御都合主義もなく、いたって理路整然とした説明がつくのである。う〜ん、これはなかなか素晴らしいことだ。作者は本書がデビュー作ということだが、ほんとに凄い冒険をしてると思う。でも、そ
れが肩透かしに終わってないからたいしたものだ。
しかし、本書はそれ以上ではない。異常な謎とそれを見事に着地させる度量はあるが、話の結構としては至ってノーマルなサスペンスの域を出ていない。
つまりお手軽な火曜サスペンス調のドラマなのだ。それがイケナイとは思わない。それはそれで楽しい。でも、重厚で読み応えのある作品を好む向きにはちょっと物足りないかもしれない。とまあ、全部曝け出して感想を述べてみたわけだが、総合的にみて本書は一読の価値ありではないかと思う。なんせ超自然的なオカルトネタがちゃんと着地成功してしまうのだから、それだけでも一読の価値はあるでしょ?