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黒い禊ぎ
 
 

黒い禊ぎ [単行本]

桐生 慎
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

「神ダーリ」と呼ばれる現象がある。
「狐憑き」なら、皆さんもご存知だろうが、「神ダーリ」は「神憑き」なのだ。日常生活がままならぬ分、「狐憑き」と変わらない災厄である。それまで見えなかった霊の姿もはっきり見えるようになってしまう。
「神ダーリ」に罹ると平日だろうがなんだろうが、場所と時間を指定されて、自分でも意味の分からない行をこなさないとならなくなってしまう。拒否すれば高熱が出る。睡眠時も夢の中で様々な宗教行事や歴史を学ばさられる。
 どういう仕掛けで「神ダーリ」に選ばれるかは定かではない。
 だが、「神ダーリ」は市井の人々の間から贄を選ぶのだ。
「神ダーリ」にかかると、その人物は「魔」との戦いも始まる。
 この物語は汚された聖地・伏拝神社を清めようと、運命的な出会いをした草薙遙日と性別の分からない程の美少年・瀬尾律との出会いから始まる。
 瀬尾律は大学の先輩が「魔」に遭ったと言うので、その検証に奈良の山中深くの神社に赴く。
 そこは悪質な呪法に汚された聖地だった。
 律はそこで清めの波動を流している気配に気づき、神社のご神体の岩磐へ出向く。
 岩磐の上では、清楚な牝鹿のような美女・草薙遙日が清めの修法をしていた。律は共同して魔払いを行うが、悪質な呪詛は消えない。
 神社の女神は呪詛のため祟神と化していた。
 律は祟神の扱いに長けた、やはり「神ダーリ」の日本画家・天野忠臣に助けを請う。
 天野は恐るべき霊力を持った女性の祟神を三体憑けていた。
 そして、運命の悪戯か?
 天野は遙日の前世の夫であった。
 汚された神社に案内された天野は岩磐の上で舞うことで、この神社は日本最古の霊山・三輪山との霊脈が呪詛により断たれていることを看破する。
 そして呪詛が巨悪の下で行われていることも調べ上げる。
 それぞれ「神ダーリ」に関わっている三人は「魔」との戦いを行う内に巨悪の呪法に汚された古代の聖地で日本最古の神社三輪山の鬼門に当たる「伏拝神社」を浄化しようとする。すなわち龍道の結び直しである。
 だが、大がかりな呪詛をしかけていた敵も、その動きを察知して、三人へ刺客を送り込んで来る。
 敵のリーダーである贄師・高瀬は、教え子であるブードゥの呪詛師。豊満で肉欲的な美女エピファニーと、かって共に修行した管使いの蛾虫を呼び寄せ、国会議員である土田の身辺警護に当たらせる。
「神ダーリ」との戦いを良しとしなかった高瀬だが、土田はかっての己の悪行を知られる事を畏れるがあまり、エピファニーと蛾虫に、瀬尾達の始末を命じる。
 人外の技を駆使して律と遙日を襲った二人だが、律は天野に、遙日は天野が送った古代の巫女の力により窮地を脱する。
 だが、それは雇われにすぎなかった呪詛師を本気にさせてしまう。
 エピファニーは律に並々ならぬ興味を示し、蛾虫は遙日の命を奪うことに命をかける。
 贄師・高瀬は状況を憂え、自ら天野と対峙する。結果、二人は密約を結ぶが、二人の呪詛師は暴走する。
 台風の夜、聖地・三輪を中心に龍道の結び直しを計画する天野達だが、エピファニーはそれを好機と判断し、蛾虫と共に、三人が術に入った所を狙おうと計画する。
 聖地・三輪を中心として、人々には知られざる、本物の霊能者達の壮絶な戦いが今始まる。

著者からのコメント

神ダーリ
と言われる現象 がある。沖縄や奄美周辺では日常的に使われる。
狐憑きならぬ神憑きである。およそ災厄としか言えないこの現象は現在でもある。
この物語は神ダーリにより呪詛と戦わざる得なくなった市井の人物達の物語である。

著者について

 まだインターネットが普及していない昔、パソコン通信と言う文字情報のやり取りが主流だいった。
 作者はniftyのパソコン通信のフォーラムfkyoto(フォーラム京都)のミステリー部屋のボードオペレータを務めながら、サブシステムオペレーターとして運営にも関わり、京都の寺社仏閣・ミステリースポットを行脚した。
 インターネット普及により、fkyoto支援の為のHP「SIN」を立ち上げ、三輪山を中心に奈良のミステリースポット探索も行った。
 パソコン通信の廃止に伴い、HPを「夢想庵」と改め、旅行記や怖い話の収拾、小説の発表を行い今に至る。
 行政書士の資格とユング心理学による臨床相談を併せた独自のコンサルタント業務を行っている。

About this Title

(序文)

 ------神ダーリについて------
【ユタ】
 宗教的な民間の巫女。モノシリ、カミカカリヤーともいう。男ユタもいる。

 神女(しんじょ)のノロやツカサは血縁などで継承される祝い女(おんな)で村落の祭祀をつかさどり、死穢(しえ)を忌むが、ユタは死者儀礼や先祖供養などの家庭内の祭祀を行い、占いもする。

 ユタの資格は、「性高生(サーダカウ)まり」といわれる霊的能力を備えた女性が、人生上の不幸に遭遇して「神ダーリ」という幻視幻聴を伴う状態に陥り、神のシラシとして巫女修行を行うことによって克服した後に成巫(せいふ)と認められる。

 沖縄には「ユタは犬の歯にかかる蚤ほど」という諺があるほど、昔から多数のユタがいるが、神ダーリを経ていないユタは、ユタマンチャーといって真正ユタとは区別される。

 病気や家庭内の不幸や旅行や受験など、沖縄の女性は何かにつけてユタのところに出かけて吉凶や不幸の原因を占ってもらう習慣があり、「女のユタ買い」と言われるほど。おそらく、昔から台風や旱魃などの天災が多く、さらに戦争の被害にもしばしば見舞われ、しかし男たちは漁撈や出稼ぎなどで留守がちなため、経済的精神的な不安を一身に背負わねばならなかった沖縄の女性たちは、ユタの占いに頼って不安を解消するしかなく、いわばユタはカウンセラー的な役目を果しているともいえよう。また「ナナユタ買い」という言葉もあって、相談者はユタの判じが自分の気にいらないと、気にいる判じが出るまで次々とユタを訪ね歩くので、相談者自身の気持を納得させる手段にしているともいえる。不幸を体験したユタは他人の不幸にも理解があり、とくに村落のユタは相談者の経済能力を知悉しているので法外な謝礼をとることもなく、ユタが果している社会的役割を高く評価する民俗学者もすくなくない。

 しかし、病気の時にユタの占いに頼って医療が手遅れになることや、不幸の原因は先祖の供養不足のためというユタの判じに従って、高額の謝礼を払ってユタを傭(やと)い、御嶽(うたき)廻りをしばしばするなどで財産を失う者もあるという。また、沖縄においては今日(こんにち)でも、位牌・財産の男系(だんけい)相続が行われているが、これは女が継承すると一族に祟りがあるという迷信をユタが流布したためで、そうした弊害があることも見逃せない。
「オキナワなんでも事典」より

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 怖い話が好きだと言う人は多い。この話に目を通した貴方もそうだろう。
 それでも、大抵の場合、実際に幽霊に会うなどの「怖い」体験をした人は皆無に等しい。興味本位で読みはするが、読んでも信じない。半信半疑が良いところであろう。娯楽として怖い話を読むのだ。
 それで良いと私は思う。
 好奇心は人を向上させる。「怖い話」だって、多少はそういう効果があるだろう。
 若気の至りで心霊スポットへ行き、信じてもなかった怪奇体験をまれにする人もいるかもしれないが、まぁ、不幸だったのだろう。
 一つ物語をしてみよう。
 怖いかどうか分からないが、否応なしに関わってしまった人々の物語だ。
 信じようと信じまいと、そういう世界はあるのだから。

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