著者の通俗作品のなかでは、「黒蜥蜴」とならんで比較的グルーサムと破綻の少ないものである。
ミステリとしては、推理や論理というよりは、アクション中心のいわゆるスリラーに分類される。
なにより、犯人が全身を金色の衣装や仮面で覆っているという、とてもヴィジュアルなところが良い。
まるで、カラー映画化を意識したような設定だ。
しかも、それが一応の必然性のあるもの、というのは、かなり乱歩も苦心したところだと思われる。
とにかく、ストーリーテラーの乱歩であるから、面白くないはずがない。
ただ、同じような怪盗といっても、こちらは一応アダルト作品なので、二十面相のようにストイックではない。
そのあたり、本作の読みどころといえるかも知れない。
12チャンネル「明智小五郎」では、この役を団次郎(当時)がやっていて、なかなか良い雰囲気だった。
そのイメージが残っていたため、翌年の「帰マン」の主人公役には大変違和感があった。
黄金仮面がウルトラマンに・・・
団氏には悪いが、今考えても違和感たっぷりだ。
他のレヴュアーが書いているように、ラストで明かされる黄金仮面の正体はあの世界的な怪盗である。
ご愛敬と感じるか、著者の挑戦と受け止めるかで評価は分かれるかもしれない。
私は、著者のチャレンジ精神だったと思いたい。
そう思いながら読むと、本作はまた一味違った味わいになる。