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5つ星のうち 4.0
これ以上読むことのできない孤独,
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レビュー対象商品: 黄金の騎士団 (単行本)
井上ひさしさんの小説は打ち止めになる。もう残っているものしか読めないのだ。 この作品の底流を流れているのは、自立することの大切さと権力のおぞましさだと思う。 子供をなめてはいけない。 小さな大人達はけなげにそしてたくましく生きているのだ。 未完で終わったことが非常に残念なのだけれども、いつまでも輝き続けてくれることがうれしいのだ。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
井上ひさしはやっぱり小説がおもしろい,
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レビュー対象商品: 黄金の騎士団 (単行本)
死亡当時、追悼記事はむしろ劇作家の側面が高い評価を受けていた井上ひさしだが、やはり小説がおもしろい。芝居を見る人は地理的にも時間的にも限られるが、小説はいつでもどこでも可能だから読者も無限大になりうる。かつて「偽原始人」で「お受験」に押しつぶされてしまった子どもたちが、いよいよ自立の道を歩み始めたかのようだ。子どもの王国(ユートピア)建国をめざすその糧は保険事業と、なんと大豆の先物取引(「商品解説」にある小麦取引は間違い)。仕掛けるのは孤児院の7人の小学生(七人の侍!)。当然周囲の大人の思惑が錯綜し、大物保守政治家や世界的規模のブローカーらの敵がつぶしにかかる。味方につくのは女優原しのぶ(原節子+大竹しのぶ)など。 子どもたちのおおらかな機知のきらめき、そこから広がる自由な世界の空想のはばたきを描かせたら井上は一級品だ。「下駄の上の卵」なども読み返したくなる。 そして時事問題。「若葉保険組合が扱わないのは、長期生命保険と通信衛星保険と、それから原子力発電所保険の三つぐらいのものさ」(p.134)なにしろ、これを保険にしたら、絶対採算が取れなくなる、とは生前彼が何度も書き、口にした言葉だ。
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5つ星のうち 5.0
井上ひさしさんの歯ぎしり。が……,
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レビュー対象商品: 黄金の騎士団 (単行本)
本作は『夕刊フジ』に1988年(昭和63年)6月から、1989年(平成元年)7月まで、297回に渡って連載されたものの、未完のまま中断する。バブルの真っ只中である。 だから、今なら絶対ここは携帯電話を使うというシーンでは、 出てこないので、おやっと思うことはあるが、ほかは一切古びていない。 書かれているのは、井上さんがずっと追い続けた『ひょっこりひょうたん島』『吉里吉里国』に連なるユ−トピアである。 一握りの子どもの心を持っている大人以外の大人たちに愛想を尽かした、 6人の孤児院の子供たちは自分たちの理想郷をつくろうとある作戦を始める。 おそらく共産主義に夢を託していたであろう井上ひさしさんの歯ぎしりが聞こえてくるようだ。 執筆中ベルリンの壁(1989年11月崩壊)や、ソ連は崩壊(1991年8月19日クーデター)に向けての足音が聞こえてきている。 しかも井上さんには、民衆の支持が共産主義にはないことがわかっている。 平成16年(2004年)文化功労者。平成22年(2010年)恩賜賞日本芸術院賞。 井上さんは日本国家と寄り添った。翌年逝去。合掌。
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