折原氏の作風は大きく分けて次の3つに別れる。
(1) 表芸とも言える叙述トリックもの
(2) 古典作品のパロディもの
(3) 「沈黙の教室」に代表されるサスペンスもの
無論、(1)〜(3)の組み合わせもある。
本作は題名から分かる通り、ルルーの「黄色い部屋の謎」のパロディである。黄色館にある秘宝を盗むという盗賊団の予告が入り、黒星警部が借り出され、そこに来合わせた虹子とドタバタ騒ぎで楽しませてくれるうちに、館で密室殺人事件が起こってしまう。密室フェチの黒星が早速事件解決に乗り出すのだが...。読者の期待を裏切らない展開で、作者のサービス精神ぶりが窺える。そして折原氏のこと、パロディは見せかけで、密室事件はガチガチの本格なのである。最後で明かされるトリックには驚いた。秘宝窃盗の方も面白いオチが待っている。
全篇ユーモアに溢れていて楽しく読め、しかも本格の醍醐味も味わえる、作者会心の傑作パロディである。