出会えた事に感謝します。
まず私自身の拙い感想より、柴田元幸氏がこの作品について非常にうまく評されているので、ここに記します。
"沈黙と記憶に蝕まれて、すべてが朽ちゆく村で、亡霊とともに日々を過ごす男。
「悲しみ」「喪失」といった言葉はこの小説には必要ない。悲しみや喪失は、ここには空気のように偏在しているから。
なのに、なぜ、すべてがこんなにも美しいのだろう?"
この小説の持つ美しさを簡潔に表してます。
確かに、大がかりな仕掛けがあるわけでもない、ただ死にゆく男の話なのに、決して陰欝さは感じられないし、安っぽい喪失感は微塵もありません。読み進める程に雨粒の様な(透明だけれど濁り気も感じさせる)言葉達が次々と降ってくるので、心に一つ一つしみ込む文章が沢山ありました。
その詩的な想像力はどこからやってきてどこまで飛んでゆくのか?うーん凄い。
スペインにこんな人がいたんですね。他の著作も是非読みたいです。現存する作家では今一番注目すべき人ではないでしょうか。