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黄色い目の魚 (新潮文庫)
 
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黄色い目の魚 (新潮文庫) [文庫]

佐藤 多佳子
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (63件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

海辺の高校で、同級生として二人は出会う。周囲と溶け合わずイラストレーターの叔父だけに心を許している村田みのり。絵を描くのが好きな木島悟は、美術の授業でデッサンして以来、気がつくとみのりの表情を追っている。友情でもなく恋愛でもない、名づけようのない強く真直ぐな想いが、二人の間に生まれて―。16歳というもどかしく切ない季節を、波音が浚ってゆく。青春小説の傑作。

内容(「MARC」データベースより)

イヤなことばかり。絵もサッカーも上手くいかない。でももう逃げない。自分だけのモチーフを見つけたから。舞台は鎌倉、揺れる2人の16歳を描く長編。 --このテキストは、 単行本 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 455ページ
  • 出版社: 新潮社 (2005/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4101237344
  • ISBN-13: 978-4101237343
  • 発売日: 2005/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (63件のカスタマーレビュー)
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49 人中、48人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 たった一人を, 2007/1/13
By 
シロフォン - レビューをすべて見る
(トップ1000レビュアー)   
レビュー対象商品: 黄色い目の魚 (新潮文庫) (文庫)
途中で読むのを止めたくなる小説がある。本書にも何度「もう止めたい」と感じたことか。あまりにも痛切で、胸苦しくて・・・いい大人が高校生の恋模様に何を今更、と思うが、本書は年齢不問の超越的な恋愛小説なのだから仕方ない。

主人公は、16歳の木島悟と村田みのり。はじめに小5の木島の章と中1のみのりの章があり、高校2年で同じクラスになったところで物語は本格始動する。各々の視点で交互に6章が描かれる。

16歳はバランスの悪い年齢だ。大人になりかけの過渡期。自分の気持ちが定まらない。感情の針が激しく振れる。エネルギーが充満して出口を探している。そんな時期に、サッカーと絵を描くことが好きな木島と、描けないが絵が大好きなみのりが出会う。二人は揺れながら、揃わない足並みで、けれど真剣に心を通わせていく。文章もセリフもなんてセンスがいいのだろう。それ以外にないような文言が連ねられていて、二人がひかれ合っていく理由が、プロセスがわかりすぎるほどにわかる。泣きたくなる。

障害もある。アクシデントもある。年齢相応の悩み―自分の核となるものの模索、可能性と向き合うことへの怖れ、友人関係・・・そういったものを忽せにしないことがリアリティを生む。リアリティと言えば、二人を結びつける「絵」の扱いの丁寧さ。著者の『しゃべれどもしゃべれども』の落語もそうだが、人と人との間に介在する素材をとことん書き込む作家だ。どちらがメインかわからないぐらい徹底して。この点でもって凡百の恋物語と一線を画するのだ。

多くの人間の中からたった一人を選び、その人に選ばれ、長い約束を交わすことがいかに大変なことか。恋は易くない。本書を読めば嫌でもそれを知らされる。
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12 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 この作家に出会えてよかった, 2004/12/22
レビュー対象商品: 黄色い目の魚 (単行本)
高校時代を懐かしく感じる主人公の二人。
甘酸っぱい青春、なんてちょっとクサイ言葉だけれど、何より二人が「絵」を通して出会い、信頼しあっているのがすばらしい。

少年の「絵」との出会い。それは死んだ父親の影響。
少女の「絵」の出会い。それは母の弟であるおじの存在。

彼らがまだ高校生という微妙な年代のために縛られている部分もあるけれど、とてもとても素敵な関係。
湘南あたりの場所設定も彼らの存在を浮き上がらせるのにとてもいい。

佐藤多佳子は初めて読んだ。
2004年、出会えてよかった作家だ。

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30 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 自分をわかってもらった気がしてしまう不思議本, 2002/11/16
レビュー対象商品: 黄色い目の魚 (単行本)
 無茶苦茶良かった。

 この話には二人の主人公がいる。授業中いつも落書きばかりしている木島悟16歳。そして、漫画家の叔父とおるちゃんにしか心を許さない気難しい少女、村田みのり16歳。

 作品は、連作短編を積み重ねた長編。最初の2編は小学生の木島の別れた父との一夜と、中学生だったみのりの友人とのいさかいの話だ。だが、後は高校生のふたりを描くものだ。

 悟やみのりの揺れ動く気持ち。どう言ったらいいのか分からない気持ち。これが、類型化じゃなくて悟やみのりにしかない気持ちの揺れ、彼らにしかない行動で描かれる。読んでいると大人の読者の私は消えて悟になり、みのりになる。実際、娘にこの本を薦めるときに、「どうも・・・このみのりって子がね、おかあさんに似てる気がしたんだ」なんて言ってしまった。本当は全然違うかもしれない。

 この本を読んで何回泣いたかわからない。いわゆる泣くトコじゃないとこだったようにも思う。なのに佐藤多佳子の微細な視線でみた彼らの気持ちがシミルのだ。

 落書き男の悟が、みのりだけはどうも描きにくいと言う。その人の本質に近いような部分を凝縮した「いやあな感じ」に似てる人物画を描くという木島にそう言わせるみのりは、確かに変わってる。

<i>「村田さんの似顔は描けねえかもな」
「すげえむずかしいんだよ。顔じゃなくてさ。人間の感じがさ」</i>

 その「むずかしさ」ってヤツが、悟にもあるんだと思う。

 あるいは人には誰でも、そういったむずかしい部分があるのかもしれない。
一口にいえない。けれど、譲ることのできない解りにくい自分の核が。

 この本は、見えない読者の「それ」をごく自然な形で認めてくれる。それでいいと言ってくれる。私は、きっとそこが好きだったんだと思う。

 爽快で希望に満ちたラストを読み終えて、自分が迷っていたことも、なんとなく吹っ切れた気がした。全然ストーリーとは関係のない悩みだったのに。なぜだか誰にも、自分を信じさせてくれるオマジナイがかかるような本でした。

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