第二次世界大戦へ至る日本の動向を「アジアへの日本の植民地支配のための野望とする見方を欧米列強による自虐史観」と捉え、そうではなく、「欧米列強によるアジア支配から自国を守るための自衛の戦争」であり、「欧米によるアジア支配という秩序」に対して、日本は挑戦したのだと著者は説いている。
内容的には、決して近代史の主流とは言えないが、戦前から一貫して一部の保守層の主張と軌を一にし、現在でも「新しい歴史教科書」等に現れ、少しずつ現在の日本で力を増している修正主義史観と呼ばれるものの、一つだろう。
それらと違うのは、著者が台湾出身の外国人であり、同じような主張をする日本人と違ってい、日本人のナショナリズムに影響されない、客観性を持っていると錯覚されているところだ。
もちろん、この著者の他の著作に見られるように、徹底的な反中国論者であり、親日的な主張の根底にあるのは、台湾人としてのナショナリズムの発露だと、私は考えている。
近代の日本史に対して、自分なりの歴史観を持とうという意欲と、それに必要な努力を惜しまないという決意?をお持ちの方は読まれても良いかもしれない。一般向けに書かれているので読みやすいが、決して初学者向きではない。使われている資料の採択も、その解釈も著者の論調に従うものであって、客観的に歴史を著述しようなどという意図はほとんど見られない。従って、記述の一つひとつを著者の見解なのか、多数の人が首肯する歴史的事実なのかを判別できる知識と能力が必要になる。そういう意味で、ある程度近代史に精通した人が読む本だと思う。