40年ぐらい前に現代思潮社から出た諏訪優訳にくらべると三倍ぐらいの厚さである。これが完全版であろう。
薬物にしか興味のない放蕩者(バロウズ)とオッチョコチョイのビート詩人(ギンズバーク)の往復書簡集である。ふたりとも受身のおかまだからよもや肉体関係はないと推測されるのだが、諏訪訳では恋文の往復のようであった。ある意味では古き良きアメリカを偲ばせる本でもある。だが日本で翻訳者を替え装いを改めて何度も出版されるのは、世代を超えて青少年の興味をかき立てうるという思惑からであろう。
こんな本を読む暇があったら、実際にいろんな薬物を摂取してみるべきである。そのほうがよほど刺激的である。幸い日本にはバロウズさえ経験のないメタンフェタミン系もあるし、これなどほんとうの悪魔である。またバロウズは麻酔剤、興奮剤、幻覚剤をごっちゃにしているが要注意である。ヤーへ(アワヤスカ)は量を間違えると発狂してずっと治らない。健闘を祈る。