漫画家としての安彦良和氏の真骨頂、歴史モノである。
今にも動き出しそうな、躍動感溢れる人物描写は、
並び立つ絵描きが見当たらぬ、職人の技に他ならない。
本作の舞台は江戸初期の台湾。幾分マイナーな時期・場所だけに
当時の有名人を地理的な場所を越えて集合させる、
という手法は正しいのかもしれない。しかし
主人公の掘り下げもあまり行われないまま
登場人物・勢力がますます増えた本二巻目に至っては
感情移入すべきキャラや肝心の物語の流れが本当に掴みづらい。
『虹色のトロツキー』の、舞台は次々と移り変わろうとも
主人公を軸とにスッキリしていた展開に比べ、
キャラたちの行き過ぎた悪ふざけも流れを阻害している。
とはいえきちんと取材した上での
風景・帆船・衣装等の美しさは格別である。