清朝第5代雍正帝の治世、不作が続いた広東州潮陽県に一人の官吏が赴任します。名は藍鼎元、雅号を鹿洲といいます。着任してみると、倉庫は空っぽ、軍隊に支給する食糧がありません。原因は租税の滞納ですが、吏員は納税義務者の土豪を恐れて徴税に赴かない。督励した前任者は吏員にストライキを起こされ、免職されました。どうしようもありませんと部下たちは口を揃えて訴えます。
普通の長官なら匙を投げる難局を藍鼎元は持ち前の胆力と機略で次々に解決してゆきます。その手並みの鮮やかさは神業としか言いようがありません。読んでいると、本当に胸がすっとします。気分爽快になります。しかも、本書の23話は創作ではなく、「実際にあった話」なのです。実社会の諸相を描いて、こんなに面白い本はめったにありません。
本書は序文の代わりに「実際にあってもいい話」と題する創作を載せています。あの謹厳な先生のどこにこんな遊び心があったのか。隅に置けない先生です。言うまでもありませんが、訳文はこなれていて読みやすい。