原作を読むと登場人物の背景が見えてきます。例えば、グレイ婦人が南アフリカのボーア戦争のボーア人(オランダ系)であったりなど、「なんで?」という所がわかり、なおよく鑑賞できる事でしょう。ですが映画は別のものと思ってよいでしょう。戦争という極限状態に舞台を置いた、恨み、隣人愛、博愛、正義、政治や特権階級問題など多岐にわたる人間性という優れたテーマに説得力があります。例えばユダヤ人の少女を助ける場面では、ドイツ軍内の新興勢力親衛隊と旧プロイセン軍人との確執が、大衆の政治と貴族の正義としての見て取れるでしょう。収容所の場面でラドル大佐が「プレシャス・シュタイナーとフォン・ノイシュタット」といっているところで彼らがプロイセン諸侯の子息とプロイセン貴族という事が分かるはずです。それはまた落下傘降下の場面にも続き、一人だけ降下中の兵士の間を抜け落ちていくシュタイナー大佐の勇姿を見る事にも続く話でしょう。降下中の反撃は当時不可能で地上の戦闘員に狙い撃ちされるため、自然落下の兵士の恐怖は極限に達するところを指揮官が危険を省みず先頭で降下する場面には、人間集団として理想の絆を感じます。この様な場面は無数にありますので、じっくり何回も見てみるのもいいのではないでしょうか?