ミステリー作家でありながら、ミステリーでない一般小説に挑戦したことが、いい方に生きているように思われる。言い回しにはミステリー作家らしさが散見されるけれど、悪い雰囲気はまったくない。
読みながら、自分が高校や大学を受験したとき、両親はもしかしたら、作中の両親のように考えていたのだろうかとか、自分が親になって、子供が受験すると言い出したときに考えたことなど、つらつらと思い出していた。
そういうことは、つい忘れがちだが、そんな気持ちにさせてくれたということは、作品の中にある意味「リアルさ」がたくさん詰まっているからだろう。
少しご都合主義的なところもあるが、それを補って余りある登場人物たちの心の動きが、とっても面白いので、みんな読んでみよう。