5曲とも本当に素晴らしい吹奏楽オリジナル作品集でした。難曲揃いなのに、それを微塵にも感じさせないシエナ・ウインド・オーケストラの力量がストレートに感じられる好アルバムでしょう。
冒頭の真島俊夫作曲「鳳凰が舞う−印象、京都 石庭 金閣寺」に流れる雅楽テイストや和の旋法など、日本をイメージしたサウンドに包まれました。様々なパーカッションの活躍がこの曲の和の雰囲気を高めています。2009年3月14日、りゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)でのライヴ演奏で、臨場感が感じられる切れ味の見事さも演奏を高めている要因でしょう。日本国内だけでなく、この曲を外国で演奏すれば拍手喝采間違いないと確信しています。よい楽曲と出会いました。
2曲目は、オランダの作曲家のヨハン・デメイが生み出した「エクストリーム・メイク=オーヴァー(Extreme Make-over)〜チャイコフスキーの主題による変容〜」です。サックス系や金管楽器の特徴をとらえた曲で、「アンダンテ・カンタービレ」から始まるチャイコフスキーのテーマの変奏を追いかけているだけで楽しめました。後半のガムランのようなパーカッションの箇所もまた無国籍的な雰囲気に包まれ、実に聴きごたえがありました。
アダム・ゴーブ作曲「メトロポリス」は、パーカッションが活躍する曲で、バーンスタインのウェスト・サイドを彷彿とするようなジャズ・サウンドが炸裂する曲です。シエナの管楽器奏者はもとより打楽器奏者の実力の高さが感じられる演奏でした。
クロード・T.スミス作曲「フェスティヴァル・ヴァリエーションズ」は、ホルンが活躍する曲で、技術的な難しさを克服するのが大変ですが、華やかなエンディングまでのアプローチが聴きものでした。
ロルフ・ルディン作曲「詩のない歌」は心に残る名曲です。曲全体に感じることができる抒情性と神秘性は、従来の吹奏楽の楽曲にない親しみやすさと格調の高さを感じました。管楽器特有の濃厚なハーモニーがとても懐かしい響きを思い起こさせます。感情の高ぶりを抑えた佐渡のタクトにシエナがよくついていっていました。