本書にあるような思い切った政策が必要な日本だが、なかなかできないだろう。例えて言うならば、歯が痛くもないのに歯医者に行っていやな歯の治療をしようとする人がいないように、何かとてつもない痛みが日本社会に襲ってくるまでは、このような改革はできないように思う。それだけの覚悟が、多くの政治家にはないし、多くの国民にもない。残念なことではあるが。
著者の主張で最初に出てくるのは年金問題だ。年金は全額税負担にしてその代わりに消費税を20%にする。そうすると、意外にも消費者が使えるお金は増えるという。それは、それまで給与から差し引かれていた年金の掛け金と、企業が負担していた掛け金が給与としてもらえるからだとのこと。(他のところで、全額税方式にすると企業は年金負担の重荷から解放されるとあるのは矛盾。初版第一刷)
成果主義をやめるべきとの主張もしている。確かに、日本人に個人個人の競争による成果主義は、合っていないと思う。著者の言うように、逆に生産性が落ちてしまうかもしれない。日本人を働かせようとするのなら、集団ごとの競争がもっとも適していると私は思う。集団(チーム)の他のメンバーに迷惑をかけないようにと一生懸命働くはずだ。小学校時代の班別競争、戦時中の隣組、江戸時代の五人組など、日本人の心をよく知って利用していた。
道州制への移行も主張している。これについては私は賛成ではない。結局「朝三暮四」に終わってしまうのではないか。道州制にして効率よくできるなら、現在の行政組織でもできるはずだ。それができないのなら、行政のくくりを変えたところでできはしないと思う。基本的に公的部門は非効率であるのが当然なので、無駄を少なくするためには小さな政府を目指すしかない。
現在の菅内閣のもとで行政の無駄を無くそうと事業仕分けを行っている。やらないよりはいいと思うが、本当にやるには行政のことや特別会計のことを一番よく知っており、頭のいい人間が集まっている官僚たちにやらせるしかないと思う。そのために、財政赤字の責任を取らせるという名目で全公務員の給料(基本給ではなく総収入)の20%をカットする。その代わり、自分の所属団体の財政赤字がゼロになったなら、10%アップする、というアメとムチでやればよいと思う。(はじめの給料の88%に戻るだけ。)