2009年の衆院選に勝って政権交代を成し遂げた鳩山由紀夫さんの内閣の布陣と、民主党のマニフェストをやさしく読み解く1冊です。「
バカヤロー経済学」では匿名だった高橋洋一さんが今回は顔を出して先生役を、竹内薫さんが生徒役を務め、二人の軽妙な応答で解説が展開します。
元財務官僚の高橋さんは数学と経済学、科学作家の竹内さんは物理学が専門。それゆえ理系出身の総理、副総理、官房長官を揃えた鳩山内閣には期待している様子。科学的に戦略を練る学問の研究で博士号をとった鳩山さんのやることにはいちいち理由があるんだよ、という前提で話が進むのですが、これから本書を読まれる方には違和感があるかもしれません。
高橋さんは、鳩山政権の目標を2010年の参院選に勝利すること、としています。そのために、自民党とは違う政策で民主党支持の浮動層にアピールし、スムーズな政権運営で自民支持の浮動層をひきつけ、民主党の支持母体に有利な政策で組織を固め、自民党の支持母体は予算と政策を絞って痛めつけるだろう、と予想します。こう考えると、意図不明に見えた民主党の政策がスルスルと理解できる、というわけです。
具体的には、1)直接給付を中心とした社会保障の充実により官僚の力を削ぎつつ浮動層の心を掴み、文部科学省の中抜き・弱体化で日教組の、交付税の割り増しで自治労の支持を固める 2)民主支持層には縁遠い政策をやめ、自民党支持層いじめと財源確保を両立する という2つが柱になります。
様々な情報を総合すると、こう考えると理屈がつながる、という読み解き方の提示が本書の意図です。高橋さんの解説に客観的な裏付けは乏しいですが、物の見方としては有用だと思います。現在、鳩山内閣は元官僚の要職起用と財源確保の失敗で躓いています。今後の展開を、本書片手に注目していきたいと思います。