西原氏の著作は結構読んでいるが、評者はこの本が一番好きです。
本書はちょっと特殊な構成をとってます。西原氏の他に、同行した勝谷氏と西田氏が執筆しており、同じ場面を3者3様に表現してます。
なぜでしょう?西原氏の原稿が足りなかったのでしょうか?ひょっとすると、同行者にも原稿料が入るように気を使ったのかもしれません。
そういえば、今となってはお茶の間のガス抜き役として、テレビ番組で偏狭なコメントを叫ぶだけの勝谷氏も、この頃は体を這って仕事をしてたんですね。お金は人を変えるのですね。
なにはともあれ、3人バラバラで真相は“藪の中”な感じもしますが、極限状態での醜態をお互いがバラシ合うという企画は、結構上手く行ってます。この企画を考えたのは誰なのでしょう?文面からは勝谷氏ではないようです。とするとハセぴょんでしょうか?彼女は雑な仕事ぶりを一発のアイデアでリカバーする天才編集者なのでしょうか?
それにしても、仲間同士で無茶な計画を立て、何かをやり遂げようとする。誰も自分の限界などは考えず行くところまで行く。何だかんだ文句を言いながら、マゾヒスティックに苦境を楽しむ。
普通は若気の至りでやりそうな事を、いい歳した連中がやってるわけで、ちょっと羨ましいです。平均年齢は高いですが、これは“青春”ではないかと思ってしまう。
本書がアマゾンの暑さに負けない清々しさを持っているのは、そんな理由かもしれません。 あと、本書中の写真の何枚かには西原氏の側に寄り添う鴨ちゃんが写ってます。この旅の終りに結婚の約束をする二人ですが、これらの写真にはすでにその兆しが現れてるように見えます。
この後、西原氏は鴨ちゃんという大厄介者を引受けると同時に、彼の得意とする戦場最前線の人間臭い世界と、アル中の鴨ちゃん自身というサブカル系漫画家にはかなり美味しいネタを手に入れたのです。
もちろん愛も有ったと思いますが。