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コミカルに、勢いに乗って突き進む物語ですが、実はシリアスです。伏線が全て鮮やかに生かされていて、読後は涙と共に爽快感を得られます。
ただ、難点を挙げるとするならば、初めのうちのとっつきにくさが気にかかります。最後まで読めばあれが全て最後につながる布石だったとわかるので、読みづらくてもぜひ最後まで読まれることをオススメします。とても楽しくて、切ない物語です。
ディズニーアニメでは、愉快でドジな脇役たち(美女と野獣のローソクとかアラジンのランプの精とか)が、大いに笑い歌い踊り喋り泣く。その彼らを主人公にしたら、きっとこんな小説が出来上がっただろう。
実は鳥姫伝を読んでいる間中、ディズニー風に戯画化されたキャラクターが頭の中を所狭しと駆け回っていたのだ。ちゃんと煙を蹴立てて。
こんなにエネルギッシュで逞しいファンタジー小説というのは、日本やヨーロッパではついぞお目にかかったことがない。(単に知らないだけかもしれないが)
鳳凰が語るには、「われわれは再会する」らしい。
というわけで、今現在、私は次回作を心より待ちのぞんでいる。そうか、この小説の重大な問題点を思いついたぞ。
続きがすぐ読みたいのに、読めないなんて!
都で飲んだくれている、頭脳明晰過ぎで物騒な李老師(李なのが凄い)が、中国的な仙人観の典型で、田舎で奇病が起こった事から、この李老師を引っ張ってくるハメになる主人公、力自慢なのがとりえなのに、名前が陸羽、茶聖と同じ、つまり、日本の茶聖である利休が敢えてジョークとして名乗った名前を本名に持ち(日本独自の侘び茶を敢えて暗喩として踏んで、だから農民なのも凄い)、その通り名が、なんとあろう事か、十牛!十牛って言えば、禅宗で根本的な題材の一つとされる十牛図は、有名ですよね。その十牛が、道教的な仙人そのものの老師と共に、言葉では表現し難い体験を、体験した物語で伝えるというさわりだけで、暗喩が満載でプロットと深く結び付いています。さわりだけでも、これだけの暗喩があり、中身は、敢えてアメリカ人が誤解した架空の中国を舞台にして、造詣の深い人が暗喩とプロットに反映させた作品でしょう。もっとも、ブラックジョークが多いので、好みはかなり別れると思います。
表紙のイラストが少女趣味なのが不満と言えば不満ですが、李老師の、看板に偽り有りって決め台詞を観れば、ジョークに対応したとも考えられます。
そんな事は無視しても、ストーリーは、アメリカ人でも楽しめた、精巧なもので、中国の人には皮肉がキツいかもしれませんが、散りばめられた暗喩を踏んだ物語は、大人向けとして、丁度、日本人くらいの文化で、一番楽しめるかもしれません。
ブラックジョークに近い暗喩とストーリーとの関係を示した註だけで、恐らく本が出来てしまいそうな、大人向けのファンタジーだと思います。表面をスラっと読むのも楽しい物語ですが、満載されている暗喩を踏んだ単語を調べて、そのジョークを楽しむのも、楽しい読み方かもしれません。中国趣味の人には、お勧めだと思います。意図的な怪しさの部分、あれ?って思って調べて爆笑の味を楽しんでは如何でしょうか?
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