昭和50年代の南鳥島と父島の様子が詳しく書かれています。
作者が気象庁の所長さんということで、気象に関するウンチクが
何かにつけて語られるものと覚悟して読み始めましたが
そうした記述は皆無に等しく、二つの島の生活について一般人目線で書かれています。
そのため、私の様な凡庸な人間にも非常に読み易く、興味深く読み進めることが出来ました。
これまでにも小笠原に関する書籍は幾つか読んだ事がありますが、
まだ定期船として『父島丸』が就航していた頃の事を
一般人目線で記したものは珍しいのではないかと思います。
研究書や学術資料の類では、飲み屋の様子や
そこで働く若い女の子の事までは語られませんからね。
また、今も島で生活している人の若かりし頃の記述は、特に興味深く読みました。
行ける人が非常に限られる南鳥島についての記述については
比較的新しい情報をインターネットで見ることが出来ますが
この書籍では、30年前当時に作者が日々の生活の中で書き留めたことを
項目別にまとめてありますので非常に貴重な記録にもなっています。
父島とは比較にならない、文字通りの絶海の孤島での生活に
作者は着任当初に不安を感じている様子が伺えますが
しかし、一度その生活が始まってしまうと、
日米交えた男ばかり数十人の生活に馴染み
それなりに楽しんでいる様子が微笑ましく
作者のように三ヶ月で区切られた交代の勤務なら
私も体験してみたいと思わせてくれました。
本書と同時にもうひとつ、南鳥島について書かれたものを購入しましたが
南鳥島の情報量ではこちらが遥かに圧倒しており、
非常に興味深く読むことが出来ました。