まず、作者があとがきで「自分にバレエ漫画は無理」「バレエダンサーが描きたかっただけで」と言ってしまっているのにガクッとくる。やまじファンを自認するだけに余計に。確かに山岸涼子や有吉京子レベルは期待していないし、何より資質が全然違う作家なのは分かっているが。しかしストーリーは踊れなくなった天才ダンサーとその恋人の物語なのだ。バレエダンサーのインタビューやドキュメンタリーを見聞きした限りでは、ダンサー達のメンタル面での緊張、嫉妬、焦燥は凄まじいものがある。それを描き込まないでバレエ漫画を描くのは、やはり無謀では。精神的に追い詰められる人を、スタイリッシュに描けない作者ではないはずなのに。とにかく全体に、ストーリーとキャラクターが練り込み不足な感じ。文句ばっかりになったけれど、バレエダンサーが描きたい、と言うだけに、やまじ作品の中でも絵が最高レベルに達しているので、惜しくて仕方がないのだ。