1987年から雑誌連載され人気だったエッセイが1990年に単行本化、1993年に文庫化され本書はその2002年改訂版、海産物の価格と漁獲高の変化は今後も必ず繰り返されるためいずれ再度改定されるでしょう、
食材としての魚類と味覚にたいする深い愛情と愛着に満ちた素晴らしい短文集、文筆初心者による技巧のない素直な文体がかえって食に関する深い教養を感じさせます、一芸を成した人が書く文章によく見られる自身の生業(なりわい)にたいする揺るぎない自信がもたらすまったく気負いのない文章はじつに読みやすく繰り返し読み返してしまう面白さがあります、
本書が以後の魚類に関する規準書といってもよく、今後もけっして品切れさせずに残すべき本として星五つの最高のものであると評価せざるをえません、
カラー写真付きのデラックス版があればなおさらロング・セラーとなるとおもいます、
本書で述べられた魚類「すべて」は一般の小売店ではデパートを含めてまず見られません、食するためには築地のようは大きな市場や漁港へ出向く、もしくは自ら釣る必要があり評者のような内陸に暮すものにとってはちょっとして旅情を感じさせる本でもあります、
最近の寿司の主流は「新鮮な刺身をできるかぎりの美味いご飯の上にのせたもの」です、寿司を腹いっぱい食したい客層に合わせて商売する限りこの傾向は今後もさらに加速するでしょう(大の大人がすしをいっぱい食べたいとおもうのはみっともないと私は思いますが)、筆者の寿司店へ行ってみればそんな主流とは異なるきちんと仕事をした寿司が普通の価格で食べられます、