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魚は痛みを感じるか?
 
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魚は痛みを感じるか? [単行本]

ヴィクトリア・ブレイスウェイト , 高橋 洋
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

なぜこれまで問われてこなかったのか?!

痛みとは何か?
魚がそれを感じるとはどういうことか?
そしてわれわれは、魚とどのようにつきあえばよいのか?

魚類学者である著者は、痛みの認知構造などを明らかにしたうえで、魚の「意識」というやっかいな領域にも足を踏み入れ、数々の調査と自らの実験結果などから「魚は痛みを感じている」と結論します。

本書の後半では、その結論を受けて、動物福祉の観点から、釣りや漁業、鑑賞魚などにおける人間の魚への対し方が考察されます。

本書は、決して「魚を保護しなければならない」、「魚を食べてはいけない」、「スポーツフィッシングなどやめるべきだ」と声高に主張する本ではありません。

科学的根拠に基づいたニュートラルな視点から、すっきりと論理立て、わかりやすく解説する著者の主張は、「魚の福祉」という難題を読者に提示します。

内容(「BOOK」データベースより)

痛みとは何か?そしてそれを感じるとはどういうことか?魚の「意識」というやっかいな領域に踏み込み、この難問に結論を下した著者は、漁業や釣り、観賞魚などにおける人間の魚への対し方―「魚の福祉」という難題を読者に問いかける。魚類学者のニュートラルな視点による、問題提起の書。

登録情報

  • 単行本: 262ページ
  • 出版社: 紀伊國屋書店 (2012/2/2)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4314010932
  • ISBN-13: 978-4314010931
  • 発売日: 2012/2/2
  • 商品の寸法: 19 x 13.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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ピーター・シンガーの講演を昔聞いたことがある。その講演の後の質疑で「魚は痛みを感じるか」という問題が上がった。ブレイスウェイトのこの本は、その問題を真正面から取り上げたもので、面白い実験結果と、注意深い議論の運びとがあいまって、「謎解き」のプロセスに読者は引き込まれる。

動物の痛み、それも魚という、われわれ人間や哺乳類から遠く離れた生き物の「痛み」を知るにはどうすればいいのだろうか。この問いには、科学だけでなく哲学的な難問も絡んでくる。著者の研究方針は、哲学者による分析や分類をふまえつつ、「痛み」の働きを進化の脈絡において考えることによって、われわれ人間の「痛み」に対応する感覚や感情が魚においても生じていると言えるための証拠、客観的に確認できる条件を探っていくというものだ。

われわれが痛みを感じるまでには、いくつかのプロセスが進行する。体の一部に何らかのダメージを受けると、そのダメージを検知する受容体から信号が送られ、反射反応が起き、さらに信号が脳に達すると「痛み」(感覚)となって意識にのぼる。さらに、その痛みの種類によっては「苦しみ」(情動)が生じる。簡単に要約すれば、無意識のレベルで生じる「侵害の検知」、「反射反応」、意識のレベルで生じる「痛みの感覚」と「苦しみという情動」が区別できる。「魚は痛みを感じるか」という問題を、これらすべての様態にわたって調べていこうというのが著者の方針である。

マスを選んで行われた実験で、マスには確かに侵害を検知する受容体があり、それからの信号が神経を通じて伝達され、マスの行動が変わることが確認された。しかし、「痛みの感覚」と「苦しみという情動」という意識レベルにまで話を持って行くためには、反射反応や生理的状態の変化だけでは不十分で、より高次の認知プロセスを必要とする行動まで確認しなければならない。著者が着目したのは、マスが「未知の対象に注意を向け、それを避けようとする」回避行動である。ある刺激物を注射されて「痛み」に相当する感覚が生じておれば、注意力が損なわれ、通常の回避行動をも損なう影響が出るはずである。さらに、「鎮痛剤」を与えてその感覚を軽減してやれば、通常の注意力と回避行動が回復するはずである。実験結果は、その予想通りのパターンとなった。

ここまでの結果が正しければ、魚は少なくとも「痛みの感覚」、あるいはそれに相当するもの、を持っているということになるが、「苦しみを感じる」ことまでは言えない。そして、その先まで踏み込んだところが本書の最大の見所だろう。動物の「痛み」が倫理問題になるためには、「苦しみ」を引き起こすかどうかがカギであり、それはベンサムをはじめとする功利主義者たちがつとに指摘していたポイントである。この問題に踏み込むため、著者はネッド・ブロック(哲学者)の三つの区別を援用する。(1)アクセス意識、これは、現在の心の状態、あるいは記憶された心の状態について気づいており、それらを組み合わせた上で決定や行動をもたらす能力を指す。例えば、ハトの帰巣能力は、いくつかの目印を「心の中で」組み合わせて作り上げられた「メンタルマップ」に依存することがわかっている。(2)現象意識、あるいは自分のまわりの出来事を「感じとる」という感受性の能力で、単なる知覚ではなく、知覚群から自分の主観的な感情や情動をもたらす能力を指す。(3)モニタリングと自己意識、これは、自分の行動について「考え」、起こりうるシナリオをいくつか「検討」し、必要な場合自分の行動様式を修正する能力を指す。例えば、自分の言動が友人の機嫌を損ねたと思って、相手に謝って関係修復をしようとする場合、「自分の行動をモニタリングする」ことが不可欠である。

以上、三つに分けた能力にわたって、魚にどこまでのことができるかを確認し、魚の「苦しみ」を推論しようというのが、本書の山場となる第4章である。山場にいたる記述は、探偵小説の謎解きのように面白い推理の連続である。ウーム、魚の研究もバカにできないなあ、見直した!
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釣り上げるとばたばた暴れるけど、すべからく無表情な魚に痛みはあるのか?
という、ある意味素朴な質問だが、これに答えるのはかなり難しい。

ダメージとか障害を知覚することと、それを痛みと捉えて不快に感じることを別に考えなければならない。
どういう仮説をたてて、どのような結果が得られれば、その仮説に対する答えになるか、
その結果を踏まえて論理的に矛盾の内容に次の仮説をたてていく、科学の醍醐味を味わえる本だと思います。
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By Gori トップ500レビュアー VINE™ メンバー
浅学ながら、私の知識ではヒトの痛みには2種類ある。
ひとつは「火に触れて熱い」、「蜂の針が刺さって痛い」という類のヒトに「防御の必要性を告知する痛み」である。
もうひとつは「胃がしくしく痛む」とか「肩こりが激痛に変わってきた」という類のヒトに「休息の必要性を告知する痛み」である。

では、これらの痛みは魚にもあるのか。
前者はあきらかにあると思われる。後者は果たしてどうなのか。

原題『Do Fish Feel Pain?』で著者のヴィクトリア・ブレイスウェイトは、次のような実験を行った。
・魚は痛みの検出に必要な受容体や神経線維を備えているのか。
・魚は痛みを引き起こす可能性のある刺激で、神経系に変化が起きるのか。
・魚は痛みを引き起こす可能性のある刺激を与えるとどのような行動を起こすのか。

前2者の問はYESであった。

となると、共生との観点からは、生物種の中でどこに線を引くのかという問題が起こってくる。

その答えは、我々はなんとなく知っている。
『線など引けない』

しかし、その線を人間は食物連鎖の頂点にいるものとして、情緒的に運用しているだけなのである。

興味深い著書である。
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