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魔都上海 日本知識人の「近代」体験 (ちくま学芸文庫)
 
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魔都上海 日本知識人の「近代」体験 (ちくま学芸文庫) [文庫]

劉 建輝
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

日本人はなぜこの都に耽溺したのか?天を衝く摩天楼、繁盛をきわめる茶館、そしておびただしい娼婦、アヘン窟。〈西洋の入り口〉にして、国民国家の〈破壊装置〉。高杉晋作、谷崎潤一郎、村松梢風らの「上海体験」を通し、幕末から昭和に至る近代日本を捉え直す。

--このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

かつて東洋一の繁栄を誇り、モダンの代名詞となった都市、上海。本書ではその誕生から発展、絶頂期の爛熟、日本軍占領による「解体」にいたる歴史を、日本との関わりを中心に丹念に繙いていく。幕府使節が欧米諸国へ向かう経由地となり、谷崎潤一郎や芥川龍之介等の文学作品の舞台となり、やがて日本軍の大陸進出によって戦場となった上海。外灘に摩天楼が聳えたつ国際金融都市、茶館に娼婦やアヘン中毒者がたむろする退廃都市、租界を擁するコスモポリタン都市…。その刻々の貌に、日本人の憧れをかきたてつづけた魔力を探る。文庫化にあたり「魔都」のその後の軌跡を増補。

登録情報

  • 文庫: 317ページ
  • 出版社: 筑摩書房; 増補版 (2010/8/9)
  • ISBN-10: 4480093125
  • ISBN-13: 978-4480093127
  • 発売日: 2010/8/9
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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By アジアの息吹 トップ1000レビュアー
形式:単行本
上海は近代日本人にとって最も近い外国だった。最初の役割は西洋への窓口としてのものであった。しかしその役割は日本が近代化・工業化を果たすことにより変貌を遂げてゆく。ナショナリズムを基盤とした求心的な国民国家を推進する明治新政府にとって半植民地でありかつ揺れるアイデンティティしか持たない上海は思想的に危険な場所ではあっても、既に倣うべき存在ではなかったのだ。しかしその揺れるアイデンティティに惹かれて、上海に迷い込む者も多かったこともまた事実である。閉塞化していく日本を離れ、上海は冒険者の楽園だったのだ。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By sasabon #1殿堂 トップ10レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
著者の劉建輝氏は神戸大学の文学博士号を持ち、本書執筆時は国際日本文化研究センター助教授で、日中比較文学・文化の研究者です。

魔都とも呼ばれ、戦前は日本の多くの文化人に愛され、近年は中国経済躍進の中心地として高く評価されている上海を通してみて、日本知識人の近代体験を浮かび上がらせた好著です。
東洋の宝石箱のようなエキゾチックな上海の戦前の姿は、収められた豊富な写真によって当時の雰囲気を理解できますし、バンドも含めた旧の租界地区の西洋建築は今も格別美しい景観を形作っています。本書の4ページに20世紀前半の上海のフランス租界やイギリス租界の地図が掲載してあります。現代の上海と比較してみるともっと興味がわきますが。
茶館、娼婦、アヘン窟など、魔都と呼ばれた不思議な街に魅せられた近代の日本知識人の姿も本書で深く理解できますので、啓蒙書としてだけでなく、歴史読物としてもお勧めします。

前半部分は日本の幕末に当たる頃の上海と日本人の関係について書かれ、後半は明治以降の関わりについて書かれています。世界の列強による中国進出とともに、上海は東洋と西洋の文化の合流によってエキゾチックな香りを持つ街へと変遷しました。そのあたりの歴史的な経過もしっかりと説明してありますので、上海の成り立ちを深く知ることができます。

本書の内容は、
第1章 サムライたちの上海
第2章 東アジア情報ネットワークの誕生
第3章 日本の開国と上海
第4章 「ロマン」にかき立てられた明治人
第5章 魔都に耽溺した大正作家たち
第6章 「魔登都市」と昭和
という章立で構成されています。
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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
著者の筆致は軽く、中国語話者の日本語だとタカをくくると大間違い。非常に滑らかだ。

幕末〜戦前昭和期までの日本と上海の関わりを概観し、
 幕末:「近代」(多分モダニティの意味で著者はこの言葉を使っている)のお手本としての上海
 明治〜大正:クレオール性と混沌への「嫌悪」と、逃避先/冒険先としての上海
 昭和:再び「モダン」なかっこよさとしての上海/一旗あげる場所としての上海
と変化していったことを論じる。

幕末〜明治初の書誌学的な分析が紙幅の半分以上を占める。これ自体は有益で、膝を打つことはしばしばだった。

しかし、魔都、もっとドロドロした人間関係や社会模様から上海を読みたかったが(タイトルからはそれを
期待するじゃないか笑)、そこの描写はあまりに駆け足である。

特にそうした模様がみられるだろう昭和の部分は、文学者の言説を駆け足で追うだけ。そりゃないだろう、と
苦笑してしまった。幕末〜明治初の記述で、脱線があまりに多かったのに対し、後半は淡白にすぎるじゃぁないか!

それでも、書誌学、交渉史からみる日本と上海の近代史は、非常に面白い。
龍馬や長崎も絡んできて、すらすらと読めた。

買って損はしないと思う。

■学術文庫版(2010年刊)では、増補と銘打っているから、上記の不足点も改善されているかもしれない。
期待したい。
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