物語はマンハッタンのアッパーウェストサイドにある音楽学校で、女子学生が殺されたことから始まる。現場を目撃された犯人は、密室からこつぜんと姿を消すが、科学捜査と目撃者からの情報で、マジックの心得がある者に容疑者が絞られる。サックスはマジックに詳しい協力者を探し、カラという芸名の若手マジシャンに協力を依頼する。
じきに、敵の正体は一流マジシャン「マレリック」と判明。ところが、殺人鬼はさらに凶行を繰り返し、ライムも襲撃されてしまう。敵の目的は究極の復讐らしい。一方で、マンハッタン地方検事の暗殺未遂事件が起こる。検事は容疑者の白人至上主義者を起訴したために、マレリックの企みに巻き込まれ…。
たゆみなき緊張感と二転三転するプロットは、まさしく名人技。また、巡査部長昇進を目指すサックスの奮闘ぶりや、カラと母親のきずなに触れるくだりなどは、首から下は指1本しか動かないライムの人物描写といっしょに、ストーリーを引き締める隠し味となっている。どんでん返しとマジックが満載。本書はディーヴァーの最高傑作だ。
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今回はボーンコレクターの原点にもどって殺人鬼との対決。
その殺人鬼は魔術師である。
彼は、エフェクトとメソッドを巧に使い分ける。
エフェクトは観客の目に映るもの、メソッドはマジシャンがその裏で行なっているもの。
これはストーリー全体に満ちていて、最後までだまされることが展開される。
登場人物の複数のストーリーが複雑に絡み合い、それはミスディレクションによるミスディテクテーションを誘い、次につながっていく。
最後に唐突に犯人が捕まるが、”生首に聞いてみろ”のような強引さはまったくない。
シリーズものとして考えるとアメリアサックスの警官としての成長も見て取れる。
例えば、彼女は言う。
”何より大切なのは、戦うための度胸ではない。戦うべきときと戦わずに流すべきときをわきまえることだ。”
ミステリー好きだったら是非読んで欲しい作品だ。
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