ファルドー農園を旅立ったガリオンの旅路は”珠”を奪還したことでひとまずの終わりを迎えるかと思われた。アルガリアでは母方の従姉妹、アダーラと出会い、ウルゴでセ・ネドラと再会するなど、一時の平穏をガリオンは過ごす。
しかし、戻るかと思っていたファルドー農園と少年時代の思い出に別れを告げ、向かった風の島でガリオンは自らの運命に出会う。
とにかく細かなディテールが秀逸な作品である。少年時代を過ごした思い出の地であるファルドー農園への再訪のシーン、ベルガラス、シルク、そしてポルガラまでもが見せる普段と違う横顔などがキャラクターにさらなる深みを与えている。風の島でポルガラが見せる一面などはこれまでの彼女とはかけ離れた、愛嬌とでもいうべきものを感じさせてくれる。ストーリーラインこそ典型的と言うべきこの物語に魅力を与えて凡百のファンタジーと一線を画すのが、このキャラクター造形とディテールであることを考え合わせると、ある意味でこの四巻はそれが顕著に出ている作品だとも評価できる。
変化とそれらに対するそれぞれのキャラクターたちの態度や想いをきちんと描写することでそれぞれのキャラクターを肉付けするという手法はオーソドックスではあるが、それだけに誰にでも出来るものでもないのも確かである。
密かにこの巻の主役とでも言うべき、セ・ネドラの成長や活躍も大きな見所である。これまでとは違った彼女の可愛らしさも含めて、次の最終巻が楽しみでならない。