あ、一人称なんだ、珍しいな。まずはそう感じました。情に訴えてくるのかな? それは、らしくないな。
そんなことで一人称を採らないですよね、風太郎氏は。必死に冷静に語ろうとする主人公のそれでも吹き出てくる怒り、こぼれ出てくる無常感は風太郎氏の天狗党事件に対する思いそのものか。これでもかこれでもかと出てくる悲劇は三人称形式では物語になってしまったかもしれない。これは実際に起きた、人間が起こしたことなのだから、主人公にはつらい思いをさせてしまったが、一人称で語ってもらうのがよかったのだろう。
こんなことが実際にあったのだとは知らなかった。人は自国の歴史を知っていなければいけないな、などと今さらながらに思う。9.11のような海外での大規模テロのことなんかより(、と言うのは言いすぎだけど)、同じ国の中で起きた出来事やその出来事をどう扱ってきたかのほうを知るべき/考えるべきなのだ。
と、真面目に感想文を書いてしまうくらいに本作は、私の心に深くずっしりと圧し掛かってきたのでした。