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魔羅節
 
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魔羅節 [単行本]

岩井 志麻子
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)

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   日本ホラー小説大賞受賞作『ぼっけえ、きょうてえ』『岡山女』『夜啼きの森』などで、岡山という地に執着してきた岩井志麻子。本作もまた、彼女が得意とする岡山を舞台にした短編小説集だ。表題作をはじめ「乞食柱」「きちがい日和」「おめこ電球」「金玉娘」など、淫靡(いんび)で挑発的なタイトルの8つの物語が収録されている。

   男娼に身をやつしながら幼い妹とともに暮らす千吉。客に尻をさし出しながら、千吉はかつて故郷の村で、雨乞いの日に自らを襲った悲劇に身もだえする。神木にくくりつけた千吉の体をなぶる村の男たち。千吉の脳裏に懐かしくもおぞましいあの唄が去来する…。(「魔羅節」)

   病の果てにトウビョウ様の使いとなった少女の枕元へとにじり寄る乞食の男。龍神への生贄に差し出された少年。海に消えた亡夫の代わりに、妻たちと交わる口寄せの婆。貧困と因習がはびこる明治初期の共同体で暮らす人々の生き死にを、岩井は肉感的な筆致でエロチックに描く。その行間からは、汗、白濁液、腐臭、そして血液のむせるような生臭いにおいが立ちのぼってくる。

   登場するのは、人間の奥底にある暗い闇をさらけ出したような人物ばかりだ。しかし、彼らの心の内に見え隠れする深いかなしみが、読む者の心を深く打つ。「わしの名前を呼んでくれ」と叫ぶ、狂った男。タヌキの金玉が八畳敷きと聞いて「うちには入りきらんのう」と答える幼女。死体に添い寝する女。近代への移行とともに打ち棄てられていった者たちの怨嗟(えんさ)が、自分の中になだれ込んでくるような、奇妙な錯覚にとらわれる小説集だ。(中島正敏)

内容(「BOOK」データベースより)

仕事にでかける千吉は、髭剃りあとに化粧水のオイデルミンをつける。きつく褌を巻くと、最後の仕上げに、女の腰巻をつける。客の前で気をやる時には、いつも幻の唄が聞こえた…。貧しくとも肩を寄せ合って生きる男や女、その日々の生活に忍び寄る、淫靡な幻想に彩られた伝承の恐怖!ああ、幻の唄が聞こえる。あの魔羅節だ。懐かしくもおぞましい、あの拍子だ…。哀しい血の匂いがしたたる傑作作品集。

登録情報

  • 単行本: 201ページ
  • 出版社: 新潮社 (2002/01)
  • ISBN-10: 4104513016
  • ISBN-13: 978-4104513017
  • 発売日: 2002/01
  • 商品の寸法: 19.6 x 13.8 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 488,791位 (本のベストセラーを見る)
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20 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
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形式:文庫
やはり著者の本領は、岡山方言で語られるホラーであろう。「ぼっけぇきょうてぇ」や「岡山女」を堪能できた方は本書にも満足するだろう。文庫化にあたって、作家の久世光彦氏が素晴らしい凄まじい強烈な解説を寄稿していますが、これからして一つの見事なホラー掌編。単行本をお持ちの方も、ここだけはぜひ読まれたい。
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13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
稀有な怪談 2002/7/23
By カスタマー
形式:単行本
一見、今から少し遡った時代の怪談のようではあるが、テーマは幼児虐待や集団暴行、多重人格障害などの、いわゆる社会問題。
そういった現代にも共通するテーマを、閉鎖された小さな社会の背徳性と複雑に絡みあって、とても精巧に、緻密に織り上げられた短編集。
世の中にホラーと名のつくものは数あれど、憑りつかれたような読後感をここまで味わわせてくれる一冊はないかも。
地方の方言や繊細な人物描写に仕掛けられた、リアリティと巧妙な語りに、心の底からぞっとします。
このレビューは参考になりましたか?
15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
人は誰しも、心密かに抱いている性的ファンタジーというものがあると思う。
社会生活上は完全に封印しているような。
岩井さんの作品というのは、そのようにして隠しているものを瘡蓋をはがすようなやり方で暴露するような気がする。

まずはタイトルだけでも怪しい。
露骨過ぎて半端に笑ったり茶化したり出来ない。

田舎の因習や差別や不衛生や薄暗さ、そういうものの中に潜む淫猥さ。
今時のあけっぴろげな性の情報とはまるで正反対の、隠して隠してなかったかのようにしてしまうことの裏側にある快楽。

いわゆる官能小説のように、性行為に関する描写が長々とあるわけではない。
行為の周辺ともいうべき心のありようを、ぬめぬめとぎとぎとと生ぬるい手で撫で回すような文章。

私はやっぱりこの人は上手いと思う。
独特の世界に否応なく引きずり込めるのは才能だと思う。
大人の女性ほど、この作品集に嵌りそうな気がする。

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最近のカスタマーレビュー
気色悪い・・・・さすが!
ホラー小説として優れています。
でも、気色悪い!
ここまで描けるのは、もう、天の才としかいいようがない!... 続きを読む
投稿日: 2010/5/1 投稿者: 天邪鬼こうじ
憑依するもの、されるもの。
憑依される人間と、霊、物の怪などが主に登場する、そして性が、遊郭が、心を引き寄せざるを得ない淫靡であやしい世界をつくる。... 続きを読む
投稿日: 2008/5/27 投稿者: 倉中達彦
おえりゃせんのぉ〜
小学校の登りん棒で性感に目覚めたスケベの女王シマコが、明治時代の岡山を舞台に生と性の営みを綴った情念の物語。読む前の、怨念に満ちた土着性のエロティック小説という印... 続きを読む
投稿日: 2007/6/5 投稿者: 紫陽花
TOO
「ぼっけえ、きょうてえ」のエグさと生っぽさと美しさが気に入ってこの本を手に取った。

これはやりすぎだ。

投稿日: 2005/10/8 投稿者: さらぴん
性か死か
現実か夢か幻か、生きているのかいないのか、作者は巧妙にその混ざり合った中ほどに読者を誘う。程よい倒錯が、この作品群をうまい味付けに仕上げている。どぎつい言葉が散見... 続きを読む
投稿日: 2005/10/4 投稿者: いじさま
8歳のころ
近所の中学生に犯されたことを思い出しました。
僕の場合は宗教行事じゃなくて解剖遊びの延長でだけど。... 続きを読む
投稿日: 2004/12/9 投稿者: "raiped"
露悪に転び過ぎ?
「ぼっけえ、きょうてえ」の方言とエログロは残るものの、熱い霧のたちこめたような雰囲気は失せて、露悪が増した感じ。... 続きを読む
投稿日: 2004/6/22 投稿者: garbanzo
胸が悪くなるほどの、人間のエゴと悪意
... 続きを読む
投稿日: 2003/6/13 投稿者: bookfed
人のサガの苦しみ
... 続きを読む
投稿日: 2002/2/12 投稿者: 中村
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