2つの中編から構成されている作品。
ある特殊な能力を持った兄弟の話。
前編の『魔王』は兄の話で、
後編の『呼吸』は弟の話。
伊坂作品の兄弟は、
絆の固い場合が多い。
これもご多分にもれず、
2人の絆は固い。
兄は、
思慮深く、その性格のせいで、
慎重になりすぎるきらいがある。
そんな彼が得た能力は、
“他人に自分の好きな言葉を言わせること。”
時代は、政治不信が高じ、
ムッソリーニの再来のような、
押しの強い政治家席巻しようとしていた。
あまりの熱狂ぶりに危機感を感じた彼は、
限られた自分の能力で“世界を変えよう”としていた。
弟は、
温和で、懐が深く、
我が道を行くような、強さを持っていた。
そんな彼が得た能力は、
勝負に勝つ能力。
じゃんけんには負けることがなく、
競馬でも、ある条件さえ満たせば、
負けることはない。
彼もまた、その能力を駆使して、
時代を変えようとしていた。
世間から外れたような恋人との暮らしを送りながら、
兄同様の思いで、
世界に向かおうとしていた。
伊坂作品にしては、
仕掛けられた前ふりが、刈り取られていない印象。
結末を書かないことで、
読者に判断をゆだねているのだが、
ちょっと物足りない気がします。
せめてもう少し、未来を感じ取れるところまで、
書いてほしかったな。
登場人物のキャラ設定が、
リアルではないけど、
おもしろかった。