何年か前に韓国で一代センセーションを起こしたドラマ「魔王」。私も大ファンです。この小説は、その脚本家が書き起こしたもので、人物のセリフや場所など展開もすべてドラマに忠実で面白い。 内容は12年前の学生時代にある少年が事件を起こした事が発端となり、その時、真実を闇に葬り去ったために12年経ってから、その事件に関連のある人々が巻き込まれていくという…まぁ言ってしまえば「復讐劇」なのだが、文中にも出てくる犯人が示した、「ひとつひとつが絡みあって全ての要素がひとつの全体を成す」というファウストの中の一説が読み進める内に次第に姿をあらわす。犯人は比較的早くにわかるのだが、12年前に事件を起こした少年の心にとじこめた痛み、12年前に全てをなくした、また別の少年の悲しみが交叉し、彼らが発する言葉ひとつひとつ、謎のひとつひとつにもドキッとして時には涙を流してしまった。なお、登場人物は韓国人だが最初に各人物の紹介や人物相関図、また出て来るタロットカードの説明や、各章のコラムも良いと思う。