エログロ伝奇バイオレンスで一世を風靡したカリスマ作家の、「キマイラ吼」シリーズと双璧をなす出世作。本作執筆当時の著者は輝く才能と創作意欲にあふれ、名作を次から次へと発表していました。キマイラ、サイコダイバー、闇狩り師の3シリーズには、普段小説を全く読まない自分でも本当に夢中にさせられました。
密教や空海の伝説なども絡む、荒唐無稽で壮大なスケールの伝奇小説です。先生自身現在では絶対に書けない(あるいは、書かない)であろう、強烈な暴力、残酷、エロスのオンパレードで、どろどろしたものが渦巻いている。自分はヤクザで格闘の達人である伊羽がかっこよくて大好きなのですが、彼は生まれつき痛みを全く感じない“無痛症”の美空(密教の天才僧侶)に捕えられ、身の毛もよだつ恐ろしい拷問を受けてしまいます…
本作は「話を広げ過ぎて収集がつかなくなる」という悪い癖(それでさんざん楽しませてもらったので、悪いとばかりは言い切れないが)も感じさせず、見事に大風呂敷を畳み切った、数少ない完結した長編代表作です。
一応サイコダイバーシリーズだし、続編「新・魔獣狩り」もあるけど、まあ独立してると見做していい作品と思うので。ちなみに元は全3巻で出版されていたものを、本書では1冊でその全てを収録しています。