前作『失われた体』に続く、門倉直人氏のゲームブック第2弾。
実は私、この2巻の方を先に購入して読んだのですが、単体でも十分に楽しむことができました。
1巻は後から古本屋で入手したのですが、先に読んだせいか本作『闇と炎の狩人』に対する思い入れの方が強いのです。
その理由は、前作を上回る叙情性にあります。
特にエンディングが素晴らしく、初めて読んだときは感動のあまり、思わず泣きそうになりました。
因みに、私がゲームブックを読んで泣きそうになったのは、本作と森山安雄氏の『展覧会の絵』だけです。
正直なところ、ゲームブックとしての完成度を考えたならば、前作に軍配が上がります。
ですが、小説としての部分は前作以上に練られている印象です。
特に、敵であるザーゴンが登場人物の内の誰に潜んでいるかを追う展開には、ミステリー張りのドキドキ感があります。
物語の舞台を閉鎖された館(正確には隔離された小さな村)に限定したところも効果的だったのではないでしょうか。
また、巻末に収められた門倉氏へのインタヴューを読むと「同じようなものは作りたくなかったので、1巻は屋外中心、2巻は屋内中心の展開にした」というくだりがあり、常に過去の作品とは異なるものを作り出そうとする姿勢に好感が持てます。
前作に引き続き、佐藤道明氏のイラストは概ね素晴らしく、作品の雰囲気作りに大きく貢献しているのですが、惜しむらくは話が繋がっている場面の描写において、登場人物の服装が変わってしまっている箇所があります(異世界が舞台だから、こういうのもありか?)
しかし、ディノンの世界を描ききれるイラストレーターは佐藤氏をおいて他にいないのではないでしょうか。
ディノン・シリーズが創土社から復刊される際には、イラストレーターが変わる可能性が高いそうなのですが、それは個人的には残念なことです。
前作と同様に、本作の謎解きも難解ではありますが読み込めばなんとかなると思います。
しかし、「隠されたもうひとつの謎」については、常人ではまず気づかないようなレベルにあると思います(実は私も、つい最近読み返してようやく気づきました!!!)
ディノン・シリーズの作り込みを考えると、門倉氏が『送り雛は瑠璃色の』の著者である思緒氏と同一人物という説に納得がいきます。
ゲームブック史上において、後世まで語られるべき名作ですね。