私がこの作品を購入した動機は、ネット上で取り上げられた作者の行動に端を発する。
この作品の6巻の印税を、増刷分も含めて全て震災の義援金に提供するという記事だ。
まず、作者のその行動に心を打たれた。
しかもさらに素晴らしいことに、作者はこうも言っていた。「私の本を買うよりも、そのお金を直接義援金に回してください」と。
これは、なかなかできることではない。しかもあまたの作家の中で、この本の作者は真っ先に行動を起こしていた。
そんな心意気に打たれて、私はこの作品を1〜5巻まで衝動的に購入した。6巻を買わなかったのは、記事を見て本屋に行った段階ではまだ6巻が発売されていなかったからだ。
とはいえ、作者の行動と作品の評価は別のこと。
この作品を読んだ率直な感想は、「古臭い凡作」といったところだった。
まず、舞台が古臭い。15年くらい前の富士見ファンタジア文庫の作品だと言われても全く違和感がない。
他の方々は「古きよきファンタジー」とおしゃっているが、私にはオリジナリティーが欠けているようにしか見えなかった。
そもそもタイトルや表紙の絵から『〇〇のアトリエ』シリーズみたいな作品を期待していたのに、話は普通にドラゴン退治。しかも表紙の女の子はヒロインじゃないとか、それはちょっと、どうなんだ?
次に、展開の凡庸さだ。
主人公の正体は開始10ページくらいでわかってしまい、何のサプライズもない。予定調和を繰り返し、だいたい予想した流れの少し斜め下に着陸した。
最大に致命的なのはヒロインで、これが圧倒的に頭が悪く、ウザい。
主人公も終始他人を上から見ている感じがして、その態度に全く共感できなかった。その主人公をひたすら持ち上げる流れが「ばんざーい、ばんざーい、明智探偵ばんざーい!」という江戸川乱歩の少年探偵シリーズのような感じがして、やっぱり古臭い気がする。
以上のような欠点があるが、文章力やイラストに問題があるわけではないので、☆2つといったところが妥当だろう。
やはり本というのは、面白そうかそうでないかで選ぶべきだと感じた。他の要素で選んでしまっては作者にも作品にも失礼になる。
6巻を買うお金は、義援金に回します。