故米原女史は言うまでもなくロシア語通訳の第1人者であり、またエッセイの名手としても知られる。職業柄世界中を飛び回っているので、ある国の常識が他の国の非常識である事を熟知している。そんな著者が世の中の相対性を中心に様々なエピソードをユーモアを交えて語ったエッセイ。題名は魔女の世界では1ダースは13を意味するという事から取ったもの。
日本人のシベリア拘留者が残したという川柳「オッパイが先に出てくる街の角」のような艶笑話も多い。旧ソ連からの来客をラブホテルに案内したら最先端のホテルだと感心された文化の相違を語る話。勿論、言語と概念の関係に関する考察等真面目な話もある。スープの"だし"に関するイタリア人の質問に、日本ではカツオで取ると答えたが、「カツオ」という発音はイタリア語の男根に極めて近い事を挙げ、共通価値が存在するのかと言う問いをする手法は巧み。著者はとにかく実地での経験が豊富なので、言葉に重みがある。
下ネタを含むユーモアで包んで種々のエピソードを語りながら、文化・習慣に"絶対"は無く、あくまで相対的・逆説的である事を鋭く説く好エッセイ。