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16 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
岩波と新潮の翻訳比較,
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レビュー対象商品: 魔の山〈上〉 (岩波文庫) (文庫)
本書のあらすじ等は他のレビューを読んでいただくとして、「翻訳」という観点から、岩波の関・望月訳と新潮の高橋訳を、ドイツ語の原作と比較してみました。岩波(関・望月訳) ・仮名遣いや言い回しが古く、原作に近い味わいがある。 ・原作の「構文」を極力変えずに訳してある。(一つの文が長い) ・訳注が多い。ヨーロッパのインテリの共通認識や、セテムブリーニのセリフについての解説が詳しい。 ・誤訳が多い。 新潮(高橋) ・岩波に比べるとまだしも翻訳が新しいので、現代人には読みやすい日本語になっている。 ・原作の長い文を読みやすく分割している。(原作に比べると一文が短く、句点が多い。)そのため、原作とはかなり異なった単純な構文になっている箇所が多い。 ・訳注が少なく、本文中で解説できるものはそうしている。 ・後から出版されただけあって、岩波よりも誤訳は少ない。
34 人中、28人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
トーマス・マンの時間芸術(上),
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レビュー対象商品: 魔の山〈上〉 (岩波文庫) (文庫)
筋書はハンス・カストルプというハンブルクの青年が友人が入院しているスイスのサナトリウムに三週間の予定で見舞いに云ったら、どういう訳か自分が病人であることになり、数年もそこで入院する羽目になり、そこでの体験、特異な思想を持った様々な人たちとの出会いにより、精神的な成長を遂げるというものである。小説の技巧に会話、説明、描写という三要素がある。会話は登場人物のやり取りを記述する等速運動である。説明は「あれから3年たった」という記述により、時間を加速させたり停止させたりする。そして描写は登場人物の外面的、内面的な特徴を記述したり、小説の舞台装置を詳述し、その多大な文章量で時間を減速させる。本作品では主人公がサナトリウムに到着した最初の数日の描写が三分の一以上占められており、あとはあっという間に数年が過ぎ、最後は時間の流れそのものが停止する。時間芸術と呼ばれる小説の特性を駆使したトーマス・マンの職人芸が発揮された作品。
16 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
死の世界の音楽の美しさ,
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レビュー対象商品: 魔の山〈下〉 (岩波文庫) (文庫)
生と死とは、愛とはどんなものかをテーマに書かれた長篇小説。単純な人間、ハンス・カストルプがひょんなことからとある山の上のサナトリウムに仮入院したことから始まり、彼が精神的な成長を遂げ、それゆえに山を下りる(=物語の幕が下りる)所までが描かれる。 とても長い小説なので、途中で飽きてしまいそうになるが、カストルプが「単純な人間」であることが、逆に人生や人間のあり方といった問題を扱うのにふさわしかったのだ、ということも上下巻を通して読むと分かってくるし、頑張って読むに足る名作だと思う。 中でも音楽「菩提樹の歌」によせて描かれる「死の世界への愛」が印象的で、最後にはこの歌とともに読者はカストルプと別れを告げることになる。
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