原作既読者としての評価ですが、今現在、漫画化成功例に挙げられる作品かと存じます。絵(描写)は勿論、構成が素晴らしい。
原作の展開とほぼ同じく大きな飛躍展開がなく、それでいて漫画として端折るとかは巧く省かれていて、原作信者の私が突っ込まずにすんなりと作品の世界に浸れました。
また、構成が素晴らしい──評価のもうひとつの意味は、原作未読の方でも1個の独立した作品として読めるところだと思います。
1キャラ,1キャラの登場シーンに名前の記載は漫画化の御約束演出でありますが、たとえそれがなくとも登場人物1人1人を区別出来るほど、脇役も含めて際立って描かれています。
失礼ながら、本作を読むまで志水アキ氏を存じず、本作を契機に志水アキ氏の別著『幻想水滸伝』を読みました。こちらはゲームが原作で私はそのゲームを未プレイで読みましたが、登場人物、世界観ともに最初からその作品(漫画)用に練られたものでは…と錯覚する程、大変に楽しませて頂きました。
本作は挿絵の無い小説が原作である以上、読者のイメージに沿わない描写(突っ込み)もあるかとは思いますが、読み終わった時、特に最終頁での“古本屋”登場シーンには、誰もが唸るだろうと確信しています。
だって、眩暈坂の不気味さ。続いて見える屋号。そして──
仏頂面が座卓で本を読む。
それだけの1コマが何故にあんな格好いいのかと!!
しかも、ちゃっかり柘榴まで描かれている(笑)。
ここまで述べて、何故に星4つかと云えば、他のレビュアが書かれている通り、京極堂の登場が最後の1頁のみ…と云う悲しさです(笑)。
展開を原作と比較すると、どうやら単行本4冊くらいになるのではないかと予想されます。
連載されている本誌『コミック怪』は年2,3度の発売で、本巻は2話収録ですから、後3年前後は連載されるのかも知れません。
嬉しいやら待ちきれぬやら、読者はすっかり憑かれて、そして落とされるまでは悶々と。