前提として、「およそ小説の映画化は原作と離れるから駄作」とは、思わない。
あくまでこの映画について。
まず原作を知らない方向けに。
第1に、台詞が早すぎてストーリーがわからないのでは。
レンガ本と称される程の原作なのだから、もともと2時間に収めるのは無理がある。
それでも映画だけでわかるかというと、ボソボソとした速い台詞が聴き取れない。
また、後述するように、原作の展開を追っていない。
わかりやすいように時系列にしてるかと思えば、そうでもない。
第2に、原作において最も盛り上がるシーンが存在していない。
「○○が○えるはずなのに、△えない」なのである。
結果、全く違う話になっている。
映画だけ見た方には是非原作の読破を薦めたい。
実はこんなに面白い話だったのか、と気づかれるに違いない。
第3に、原作において読者が引き込まれる要素が全く再現されていない。
特に顕著なのは、京極堂の性格と榎木津の性格。
そもそも原作シリーズのファンが惹かれるのは、彼らのパーソナリティではなかろうか。
それにも係らず、両者とも常識人の範囲内に描かれてしまっている。
もし十分に知りたいと思われたら、やはり原作をば。
次に、原作ファンの方へ。
第1に、この映画は致命的なミスを犯している。
序盤の病院シーンで、榎木津と頼子が対面しているのである。
そうなると、見えているはずであろう、あの犯人が。
第2に、話の盛り上がりがたやすくカットされている。
上述したとおり、「○○が○えるはずなのに、△えない」。
さらに、木場の視点が実に薄い。
姑獲鳥でいう関口の役割が木場に与えられるはずなのに。
(暴走もないに等しく、そうすると降格もないのだから、次回作を放棄か)
つまり、総花的になりすぎて駄作と化しているのだ。
総じて言えば、原作の読み込みが足りていない。
その程度でよく映画化しようと。