ヘンデル研究家ディーンの『Handel's Operas 1726-1741』によれば、ヘンデルの最晩年のオペラ『セルセ』はモーツァルトの傑作にもなぞらえられる作品です。雰囲気は『フィガロの結婚』に似て、王セルセはアルマヴィーヴァ伯爵,王に求婚されるロミルダは伯爵夫人、その妹アタランタはスザンナといったところです。セルセの弟アルサメネの従者エリヴィロは『ドン・ジョヴァンニ』のレポレッロの前身です。
『モーツアルトのオペラ』の著者デントは姉妹を『コシ・ファン・トウッテ』の姉妹になぞらえます。
「オン・ブラ・マイ・フ」だけでなく旋律の美しいアリアがたくさんあります。レシタティーヴォも歌になっています。そのため劇的緊張感を削いでいる感がありますが、歌手を聴く姿勢で臨みましょう。アタランタの喜劇的な性格付けが楽しいです。男役や男装といった女声が多いので、あらかじめ付録のブックレットで全訳とあらすじ・見どころを読んで人間関係を予習してから鑑賞しました。