10年ほど前に焼け落ちた、フェニーチェ歌劇場での公演。ソプラノは、あのコロラトゥーラの名手、グロベローヴァである。調べてみると、CDを二枚持っていたのだが、DVDで見ると、CDの写真よりずっとよい。テノールのシコフも、お坊ちゃま風の姿がよく似合っている(NY生まれなのに!)。父親役のバリトンも結構感情が入っている。全体に細かい演技もしていて、悲劇をよく表現していると思う。
映像も歌もよく、オケも当たり前のように、歌手との連携のよい、楽しい演奏だ。
椿姫といえば、初演からあんな太った女(当時の歌手は太っていたし、今回もその伝統に則っている)が肺病で死にそうとは見えないという批判が出た。確かにそうなのだが、それでも感情移入できるほど、グロベローヴァは微妙な声のコントロールに成功していて、感激してしまった。素晴らしいと何度言ってもよいだろう。
いやはや、こんなすごい舞台を見られたベネチアのお客さんは幸せである。
着飾って、ゴンドラで劇場前に付け、オペラを楽しむ。幕間ではワインなどを楽しみ、うーむ、悔しいくらいの環境である。
とにかく、このお値段で最高のオペラを楽しめるので、彼我の差は忘れて、我慢しておこう。CDでオペラを聴いている方、ぜひ最高の歌手達の演技も見ておきましょう。解説書もさすがに出版社。よくできている。