スタジオ収録版とライブ版の混合、他のアーティストの曲の採録、2枚組等U2としては異色のアルバム。最も充実していた頃の作品だけに内容も素晴らしい。
冒頭の「Helter Skelter」は無論ビートルズのカバーだが、ビートルズのメンバもアイルランド移民系なので親近感があるのかもしれない。「Van Diemen's Land」は囚人の島を歌ったもので哀切感が胸に迫る。「All Along The Watchtower」もB.ディランのカバーで、多くのアーティストに取り上げられる曲だが、原曲の荒削りな部分を活かしながらU2特有の鋭さが光り秀逸。「Heartland」は理想の土地を夢想した歌で心に響くものがある。「I Still Haven't Found What I'm Looking For」はU2の代表作であるが、本アルバムの中で聴くと拡がりを持ったサウンドの素晴らしさが余計際立つ。
この他、シングル・ヒット曲も多く収められているが、私が一番驚いたのは「God Part II」である。「ジョンに捧げる」との添え書きがあり、ジョンに対するボノの想いが伝わる。歌詞も原曲を活かしながら、本作発表当時の社会、音楽界に対する皮肉が込められており卓越した出来栄え。
当時のU2の充実ぶりを見事に発揮したまさに「魂の叫び」が聴こえて来る傑作アルバム。