科学は実験によって実証可能なものを対象としている。従って、光より速い物は測定不能なため、科学の対象外となる。
これをつづめていうと「科学的にいえば、光より早いものは無い」
魂という、考えることの外にあるものについて、その表現に挑戦したものが、既刊「魂を考える」という、季刊「仏教」への2年間9編の連載に、出版のための書き下し文と後書きを加えた本であるが、彼女の著作を全部読んでいないと、誤解してしまう表現に満ちた本であった。
例えば、臨死体験を語った彼女の父を前にして「しばらく笑いが止まらなかった」と書いてある。彼女の著作を全部は読んでいない読者にとって、「なんて不謹慎な」って誤解してしまう場面である。
しかし、「魂を考える」ではなく「魂とは何か」では、この誤解は解ける。220頁の6行目からであるが「人が生きているということは、それ自体が絶対矛盾です。それに気づく地点に立ったときに、人は絶句します。つまり全くわからないということがはっきりとわかった地点と言ってもいい。「無知の知」ということですが、そこが哲学の始まりです。もっとも私の場合は絶句と共に笑いがくるんですけど。」
140頁の文章に100頁の注がついているといえば、実も蓋も無いが、正確には、注とすべき作者の文章が丁寧に集められているというべきで、彼女の全集を読まないで、彼女が語る「魂」を正確に知るには、この構成でないとダメであることは真実である。