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鬼 (潮漫画文庫)
 
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鬼 (潮漫画文庫) [文庫]

山岸 凉子
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登録情報

  • 文庫: 235ページ
  • 出版社: 潮出版社 (2002/12)
  • ISBN-10: 4267016437
  • ISBN-13: 978-4267016431
  • 発売日: 2002/12
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (6件のカスタマーレビュー)
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21 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 鬼は自分が「忌まれる存在=鬼」だと気づいているのか?, 2006/2/22
レビュー対象商品: 鬼 (潮漫画文庫) (文庫)
表題作「鬼」は、天保8年の大飢饉に見舞われた奥州の貧村と、1995年オウム事件直後の二つの舞台、飢饉の口減らしのために山中の深い穴に生きながら捨てられ飢えに苦しみ遂には先に死んだ子供の屍肉を食べるまでに追いつめられた子供たち、美大に通い民俗学サークルの仲間と旅行を楽しむ主人公たちの二つの物語・・・ストーリーはこの接点の無い両者の間を行き来して最期に、著者初とも言われた救いのある大団円に到達する。
そこには、無惨な経験を「ゆるす」ことで救われるいくつもの魂を見る感動がある。巻末の著者インタビューに寄れば、そこには著者自身の魂も含まれるようである。
「ゆるす」・・・むずかしいことだが、何よりも強い大切な力なのだとも思う。そんなことを考えていた時にこの作品を読めたことは幸いだ。
同時収録「肥長比売(ひながひめ)」は出雲の豪族の娘肥長比売と大和の王本牟智和気(ほむちわけ)の政略婚の始まりと終わりを、「着道楽」はタイトルどおりの女性の一人称で語られる著者お得意の「どこにも行けない人の物語」。99年の著者インタビュー「私にとっての神とは何か」は、これほどの人が価値観の崩壊を体験し、自身の才能を錯覚ではなかったかとまで悩み、描けなくなった時期を振り返る。解説は作家の村上政彦。
「鬼」と「肥長比売」は潮出版社単行本版「鬼」に、「着道楽」は潮出版社単行本版「ツタンカーメン(1)」にそれぞれ収録されている。
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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 救いとは, 2008/11/26
レビュー対象商品: 鬼 (潮漫画文庫) (文庫)
飢饉に見舞われた寒村での口べらしという余りにも重い題材。
捨てられた子供たちの死に至る過程の余りにも惨い描写。
この作品へ賛否両論があるのは当然だと思うし、山岸作品と訣別したという評者の意見も「受け入れる心の準備がなされないうちに読まされた読者」として当然の反応と受け止められる。
しかし、山岸涼子がセンセーショナルな題材をグロテスクへの興味本位で描きたかったのかというと、答えは当然「否」である。
大学の民俗学サークルの夏の合宿地に選ばれた東北の山寺のバックグラウンドと新入生の草薙の悲しい出生がシンクロした結果の怪異は、数百年も成仏できなかった幼子の魂が救われる契機に繋がった。同時にそれが草薙の魂の救済にもなったことで私たちは今の時代を無機質に生きることの難しさをも学ぶことになるのである。
冒頭のオウム事件の報道を思わせる描写も、心の救いを求めて現代をさまよう私たちの危うさを表し、そしてそれは無残に死んでなお魂魄をこの世に留まらせる幼子の無垢の恐ろしさと哀しさを結びつけているように見える。
「人をゆるすことで自分もゆるされる」−人間がこのことを真に理解できれば他力にすがらなくても自分自身を救済することが出来うる可能性を、この言葉を失わせるほど重い作品を通して作者は示しているのではないだろうか。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 娯楽マンガじゃありません!!, 2010/10/16
レビュー対象商品: 鬼 (潮漫画文庫) (文庫)
タイトルや表紙がもの語るように、この作品は娯楽を前提とした
「マンガ」では決してありません。軽々しい気持ちで読むと後悔します。

表題作が一番長く重い読後感を与えます。
飢饉により捨てられた子どもの癒えぬことのない魂と
登場人物がそれぞれ隠し持つ行き場の無い怒りややるせなさ、恨み、
それを重ね合わせ、対象を赦すことによって自分もまた赦されるのだ
という希望に導く・・・というような話です。

途中ちょっと凄まじい展開があり、そちらが物議を醸しているようですが、
作中の登場人物も言っているように、自分の命を繋ぐために
既に亡くなった者の肉を食べるのであれば、それは殺人のように
咎めるべき罪では決してありません。
誰だって意識がある限り絶対そんなことしたくはない。
ただそこには、極限状態に追い詰められ地獄絵図と化した
いくつもの命があり、魂があったということを語るため、
必要な描写だったのだと合点しました。
(快楽のための殺人や、飽食によって無駄に消費されていく動物たちの命、
許してはいけないのははそちらの方です)

「鬼」ってなんでしょうか。それがこの作品のテーマであり答えですが、
読んで行くうちに何となく分かった気がしました。
他人を受け入れて許すことは自分を認め受け入れてゆるすこと。
その境地に至らず自我の迷子と化してしまったものが鬼なんでしょうか・・・

何にしろ重厚な作品でした
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