第二次大戦中、ソ連軍は、ヨーロッパ各地で、多くの民間人に、筆舌を超えた残虐行為を加えた。特に、ドイツ東部のソ連軍占領地域では、強姦されなかった女性は居なかったのではないか?とすら言はれる程、多くのドイツ女性が、ソ連兵によって強姦された。(ソ連兵に強姦されて、自殺したドイツ人女性も非常に多い。)教会にドイツ人の女性を集めて、その教会の中で、女性達を集団強姦した事件なども有った。ソ連兵に強姦される母親を守ろうとして、ソ連兵に振り回され、頭を割られて惨殺されたドイツ人の少年も居る。又、多くの子供を含む、ドイツの避難民が乗った船を魚雷で沈めて、罪の無いドイツ人の子供を多数溺死させたのも、ソ連軍である。これほどの残虐行為を働いたソ連軍を美化する映画を、今の私は、最早、好きに成れない。
この映画は、劇映画としては、良く出来た作品である。上に述べた様な、ソ連軍の残虐行為を棚上げして見るなら、傑作とすら呼びたく成る映画である。だからこそ、十代の頃、テレビでこの作品を観た時には、私も、この映画に感動した。しかし、ソ連側の残虐行為が全く無かったかの様にあの戦争を描き、ドイツ人だけを一方的に悪魔の様に描きながら、ソ連兵のみを善良な人間として描くこの作品を、今の私は、もう賞賛する気持ちに成れない。もし、ソ連兵が、この映画の様に、人間的な兵士ばかりだったら、ソ連兵に強姦されて、自殺するドイツ女性も、強姦される母親を守ろうとして殺されたドイツ人の少年も居なかったのではないだろうか?
(西岡昌紀・内科医)