鬼平のイメージといえば「悪党畜生には鬼のように恐れられているが、まっとうに世の中渡ろうとしている者にとってはこれほど心強いお方はいない。」これは凶剣の一節だったろうか。今回の「男のまごころ」「妖盗葵小僧」を見ているとやさしさと恐ろしさを両面感じることができるようだ。
第7シリーズは96年と97年にまたがって分割して放送された。これには、当時ラジオで聞いた小野田監督の話によれば、彦十役の猫八さんの体調不良などが要因とされている。特に序盤の3話「麻布ねずみ坂」「男のまごころ」「妖盗葵小僧」の3本はどれも出来がよく、見ごたえがある。
ただ、この97年放送分からドラマのボルテージは下がってきたように当時思えた。原作の消化も要因だと思う。ゲストも多少地味に感じるシリーズとなった。いささか辛口のように聞こえるかもしれないが、「麻布ねずみ坂」「男のまごころ(原作/鈍牛)」「妖盗葵小僧」は過去の東宝のシリーズでもドラマ化されていたが平成版は少しソフトな表現のような気もする。
第7シリーズ(1997年4月16日〜1997年7月16日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)
第1話 麻布ねずみ坂
第2話 男のまごころ(原作:「鈍牛」)
第3話 妖盗葵小僧
第4話 木の実鳥の宗八(原作:「春雪」)
第5話 礼金二百両
第6話 殺しの波紋
第7話 五月雨坊主
第8話 泣き味噌屋
第9話 寒月六間堀
第10話 見張りの糸
第11話 毒
第12話 あいびき(原作:池波正太郎著「おせん」)
第13話 二人女房
第14話 逃げた妻
第15話 見張りの見張り