下巻を読みきったら上巻と感想が少し変わったので書き直させて頂きます。
お話は一鬼夜行の続編という形になっていて、今作は上下巻の2冊に分かれてます。
前作で非常にすっきりした終わり方をしましたので、もう続編はないと思ってましたが
またあの凸凹コンビの活躍が見れるのは非常に嬉しい限りです。
全編を通してゆったりと話は進み、自称大妖怪の小春の小生意気で優しいところも、喜蔵の強面っぷりも変わらずです。
喜蔵が人間らしく(元々人間ですが)なっていく過程も見所なのですが、
自分の中で今作の主役は間違いなく、喜蔵の家の古道具に宿った付喪神「硯の精」です。
硯に手足が生えただけの妖怪に、ここまで泣かされるとは思いませんでした。
下巻で、硯の精が喜蔵の家にやってくるまでの経緯が明かされるのですが、
こちらがメインエピソードと言っても過言でないくらい印象強い。
王道といえば王道の話かもしれませんが、決して陳腐に感じさせず上手に描いてると思いました。
おかげでこれ以降のお話はちょっと退屈してしまうくらいです。
これは前作でも強く感じたことですが、読んでいてひしひしと感じる
作品全体から漂う優しさや暖かさは、ひとえにこの登場人物達から出てるものなのかもしれません。
妖怪も人間もしっかりと自分の人生を生きて、情がある。
けれども「仲良く一緒に生きていく」ことは決して無い。
これは小春自身もはっきりと断言していて、
人間と妖怪達は根本的に違うというという徹底的な事実にある一抹の寂しさがまた良い味を出してるように思えます。
前作では話は面白いものの、地の文章が多少読みづらいなぁと感じる所が多少ありました。
しかしながら今作では格段、文章が読みやすくなってサクサクと読めます。
前作でなんか読みづらいなぁと思った方も、ぜひまた手に取ってみてください。
もちろん初めての方も、オススメします。
読後感の良さは満点です。
最後に余談ですが、今回のキーパーソン(?)の一人であるキャラの正体が下巻の裏拍子に思いっきり書かれてます。
ミステリーものではないにせよ、完全にネタバレですので気になさる方はご注意下さい。