主としてわが国の中世の説話に材を得た時代マンガ集。「ことのは姫」「おぼろ月の里」「夜の市」「福の神」「美男蔓」「呂宋の壺」「深井」「残された女」「打つ女」「鬼にもらった女」の10篇を収録。
短篇マンガの名手である近藤ようこの作品群のなかで、かならずしも最良の部に属しているわけではないが、もしあなたが彼女の作品の愛読者ならば、買って読んで期待を裏切られることはないだろう。安定した丹念な仕上がりを、私は堪能した。
画力があると言っては語弊があるかもしれない絵柄(ごめんなさい!)。にもかかわらず、ヒロインたちのシンプルで個性的な顔の描線は、私にとって抗しがたい魅力をたたえている。物語の空間のそこかしこに、かぐわしい女の情感と暗い影がそこはかとなく浮遊しているのも、近藤ようこの多くの作品に共通する美質ではないかしら。
寡作の人だけど、佳作ぞろい。近藤ようこからは目が離せない。