本書は作家「堺屋太一」氏が「信長」と「明智光秀」という「主従関係」にありながら、全くの正反対の性格を持つ二人の立場に身を置きつつ、当人達に「成りきり」様々な場面毎に於いて両者の「考え方」の違い等を克明に書き記した「異色」の「歴史小説」です。
学識、教養豊かな堺屋氏ならではの両人の「独白形式」は、まるで当人自身が読み手に直接語りかけて来る様で、臨場感があって面白いです。氏は元、「通産官僚」だけあって信長の「経済政策」(実は軍事政策に通じている)については、かなり詳しく(信長自身の口を通して語っている訳だが)述べられていて、大変勉強になります。
「両者」を決定的に訳隔てたものは結局「何」か?という問題は、「独創的発想」により「創造的破壊」を繰り返した信長に対し「常識と伝統」を重んじ、「保守的な懐柔策」を重んじた光秀が、「己」の思考能力を超えてしまった所に「主」を於いた点にあったのではないでしょうか?
しかし、今更ながらこの信長が生き続け彼の目指す「天下布武」が完成されていたならば現在の「日本国」とは全く違う「日本国」が創られていた事は疑いようのない事でしょうね・・・・「日の本は小さな島国で終わるのか・・・」と氏は最後「信長」に語らせています・・・