★4の中と下の狭間。
男性向け成コミ方面では『ベンジャミン』名義を使い分ける著者の7冊目は、初挑戦のエロ無し一般作な『鬼ごっこ』の第16〜25話までと番外編2頁と6頁の描き下ろしを収録した第3巻。
帯宣伝に『妖たちの里、継ぐ者の力、過去の記憶。それが一つに繋がったとき、全てが始まった』とありますが、これほど帯宣伝通りの作品は珍しいので、今回は細かい説明は一切省かせていただきます。
作品的にはようやっと世界観の全体像が見えてきたところでプロローグから本編突入というところでしょうか。
作風的には極めて散文映像的な手法で展開されるため、拒否反応を起こす方もおられるかもしれませんし、1巻でとっつけなかった方にまでお薦めはいたしませんが、一歩一歩確実に構成力も身についてきてます。
作画的なことを言わせてもらうなら、まさに『白と黒の芸術家』。
日本が世界に誇る最大のポップカルチャーである漫画のもつ一側面であるアート性を強く感じさせてくれるその独特ペンタッチがもたらす世界は、スタイルこそ大きく異なるものの『高橋葉介』『坂口尚』『中村明日美子』をはじめとする稀代のアーティストたちに迫るものすら感じさせてくれます。
現在のスタイルを突き詰め、漫画に説得力をより強くもたせるネーム処理とコマ展開力を磨きつづけてくれれば、トップクラスの漫画家の一人として認知される日もさほど遠くはないことでしょう。
ベンジャミン名義を廃業するほど売れっ子作家になってしまうとちょっぴり悲しい気もしますけど、もはやそんなことを言ってられないくらい本気で一般に取り組んで欲しい想いでいっぱいです。
ミステリホラー仕立てのダークファンタジーで、『青臭ささえ香る透明感のある蕾たちのフェティッシュを前面に押し出しコケティッシュに変換する白と黒の魔術師』が贈る、耽美的な映像世界を堪能したい方へのお薦め。